2013繊維学部研究紹介
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新しい繊維集合体の創製~めざせ夢の糸づくり~松本研究室では、多くの新しい機能を備えながらも、より美しく、環境にもやさしい繊維製品として、先進的な糸の設計と開発に取り組んでいます。繊維製品に対する消費者の要求は多種多様であり、さまざまな使用用途にあった性能が必要となります。また、一次元繊維集合体である糸の性質には、構成繊維の性質と糸の構造が大きく影響を及ぼしており、人体・人肌はその性能を敏感に感じ取ることができます。そこで、新しい天然繊維材料の開発だけでなく、どのような作製方法を用いて、どんな構造をもつ糸を設計しつくればよいのかなどについて実験・研究する繊維工学を実践しています。また多くの企業とも共同研究・開発を行っています。日本唯一の繊維学部、また繊維名称を冠する唯一の先進繊維工学課程の卒業生は、多くの大手繊維会社やアパレル会社、自動車関連会社、スポーツ関連会社などにおいて、素晴らしいリーダシップを発揮しながら世界中で活躍しています。松本陽一教授信州大学繊維学部助手、助教授を経て、1998年より現職。主な研究分野は繊維工学と紡績学、特に短繊維紡績糸の構造制御についての実験・研究。異繊度同繊維長の短繊維群で構成された三層複合紡績糸の断面構造廃棄コンニャク材料を用いたヘミセルロースとセルロースで構成された二層複合繊維の断面構造先進繊維工学課程繊維・感性工学系研究から広がる未来卒業後の未来像ヘミセルロース層セルロース層これまでに数多くの新しい繊維素材が開発されていますが、それら全ての素材やその性能が十分に使用・発揮できている訳ではありません。また毎年多量に排出される産業廃棄物の有効利用法を考えることはとても重要な課題です。さらに、個人の体型や嗜好、生活環境にあわせた個別対応型繊維製品の設計と開発が必要であり、人間社会のみならずにおいても大きく貢献できるものと確信しています。松本研究室西松研究室スポーツウエアの『着心地』と自動車シートの『座り心地』を数値化西松研究室では、様々な製品の『心地』の数値化に取り組んでいます。『心地』は、製品の種類やその使用環境によって“着心地”、“座り心地”、“歩き心地”などに細分化されます。このような『心地』を数値化するために、人間快適工学を用いて研究(“心地”の数値化、製品を使用しているときの動作解析、生理反応(筋肉への負担、ストレス度など)測定)を広範囲に行っています。研究室では、企業と共同で数多くの製品を開発して市販化。例えば、世界初の“しわになりにくいスーツ”、動きやすいゴルフウエア、座りやすい自動車シート、香る洗剤や柔軟剤、など。製品の『快適性』である“心地”の数値化は、繊維製品以外にも様々な分野で注目されています。カーインテリア(自動車シート、ハンドルの操作性、メーターの見やすさ)、建築インテリア(玄関ドアの開け心地、床の歩き心地、内装の外観)、ハウスホールド製品(洗剤、柔軟剤)にも求められています。このように、人間快適工学による研究は我々の身の回りの製品への応用が大いに期待されています。研究室の卒業生は、スポーツウエア、アパレル、織物加工、自動車シート、カーインテリア、建築インテリアの会社に就職して新製品の研究開発を担当し、活躍しています。西松豊典教授三重県工業技術センターを経て、1993年より信州大学繊維学部助教授。2000年より現職。主な研究分野は、繊維製品評価、人間快適工学、スポーツウエア設計工学。企業との共同研究で数多くの商品を市販化。ゴルフウエアの動きやすさを測定している時の実験風景腕にマーカーを付けて3次元の動作解析動きの解析先進繊維工学課程繊維・感性工学系研究から広がる未来卒業後の未来像動きやすくて着心地が良いスーツ(市販中)あらゆる動きに対応するゴルフウエア(市販中)

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