2012環境報告書
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リチウムイオン電池は小型かつ高いエネルギー密度を有し、現在は小型電子機器の二次電池としてまた最近では電気自動車やハイブリットカーの二次電池として幅広く用いられている。また、リチウムイオン電池は今後再生エネルギーの有効活用等さまざまな分野での利用が検討されている。しかし、現在のリチウムイオン電池のさらなる高容量化を実現するためには電極材料の変更が必要であり、さまざまな材料が研究されている。本研究では現在用いられている負極材料であるグラファイトよりも高容量を示すスズに着目し、新たなリチウムイオン電池負極用材料の開発を目的とする。スズを用いることによりめっき法で電極を形成することができ、めっき条件を変えることにより様々な表面形態の電極を作製することができる。しかし、スズを用いた電極は充放電の際に電極自身が体積膨張収縮するためスズが電極から滑落し、低寿命化を引き起こす。そこで優れた機械的特性を持つカーボンナノチューブに着目し、カーボンナノチューブの繊維強化効果によりスズめっき膜負極の体積膨張収縮による劣化抑制を期待している。図は電気めっきによって実際に作製したスズ/カーボンナノチューブ複合めっき膜の表面SEM画像である。多数のカーボンナノチューブがめっき膜中に取り込まれていることが確認できる。今後はこの材料の充放電特性等の評価していく予定である。リチウムイオン電池負極用スズ/カーボンナノチューブ複合めっき膜の作製福岡 良介卒業論文工学部 物質工学科スズ/カーボンナノチューブ複合めっき膜カーボンナノチューブ複合めっきの概念図リンゴ粕のカスケード利用リンゴ粕添加培地で栽培したエノキタケ2-1 環境教育 長野県のキノコ生産量は全国1位、リンゴ生産量は全国2位であるため、リンゴ粕(廃果やジュース粕)とキノコ廃培地の発生量が多く、処理に苦慮している。また本県の乳牛飼養頭数は全国11位で飼料の需要は多い。我々の研究室では、地域資源を無駄なく使いきるために、リンゴ関連産業→キノコ産業→飼料産業の順でリンゴ粕をカスケード利用するための研究を行っている。昨年、リンゴ粕を添加した培地でエノキタケを栽培することに成功し、この廃培地は一般的なキノコ廃培地よりも生分解性が高いことが予想された。そこで本研究では、リンゴ粕添加エノキタケ廃培地の牛用飼料としての基本的な性能を調査した。 廃培地は腐敗しやすいことから、最初の実験として乳酸発酵による保存性向上を試みた。その結果、乳酸菌の添加により順調に発酵し、3カ月以上にわたって品質低下なく保存できることを明らかにした。そこで、この廃培地の栄養素とin vitro乾物消化率を調査し、栄養値は一般的な穀類やヌカ類より劣るが乾牧草より優れていること、in vitro消化率は一般的な乾牧草の値に匹敵することを確認した。以上の結果は、リンゴ粕を添加したエノキタケ廃培地は、牛用飼料として十分期待できることを示唆している。リンゴ粕添加エノキタケ培地の廃培地における飼料栄養価とin vitro乾物消化率竹内 漢卒業論文農学部 食料生産科学科卒業論文30

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