2012環境報告書
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生活環境内には様々なエアロゾル(粒子状物質)が浮遊しています。これらは呼吸により容易に体内に取り込まれるため、呼吸器官系への影響が懸念されます。感染症の原因あるいは運び役となる可能性もあります。本研究では、浮遊エアロゾルの挙動の可視化を試みました。自主開発の装置(バイスタティックイメージングライダー)は、レーザポインタ、CDCカメラ、PCからなります。レーザに照射されたエアロゾルからの散乱光をCCDカメラで受光します。受光信号強度はエアロゾルの量や大きさに関する情報を、CCDピクセルの並びは空間情報を、カメラのシャッタ制御は時間情報を与えるため、エアロゾルの挙動に関する知見が得られます。今回の実験では、屋外で衣服に付着したエアロゾルが、自宅に帰って衣服を着替えた時に、どのように室内中に撒き散らかされるか、その挙動を可視化しました。図は、室内床面(0m)から呼吸する高さ(2m)までの領域に浮遊するエアロゾル散乱光強度の高度分布の時間変化です。Aは靴(高さ約10cm)を、Bはズボン(約50cm)、Cは上着(約120cm)を脱いだ時刻です。各時刻の対応する高度で散乱光強度が大きくなりました。Bでは上部への拡散が顕著に見られました。BやCでは床面での強度が大きく、脱ぎ捨てるという動作が大量のエアロゾル発生に関わったものと思われます。拡散は約5分継続しました。幼児の徘徊や歩行の高さは床面から50cm程度であること、テーブル、ソファなども同程度の高さであること等を考慮すると、その周辺のエアロゾル挙動を観測できる装置が開発された意義は大きいと考えています。バイスタティック・イメージングライダーを用いた日常生活で発生するエアロゾルの屋内空間分布計測TRAN XUAN THANH (ジャン スンタン)修士論文工学系研究科 (修士課程) 情報工学専攻 ニホンジカは、人為的な環境改変によりその分布域を広げ、そして個体数が増加し、農林業のみならず、自然生態系にまで深刻な被害を与えている。この対策として、雌ジカを中心とした捕獲が実施されている。しかし、その担い手である狩猟者は年々、高齢化、減少している。本研究では、ニホンジカを効率的、かつ省力的に捕獲する手法の開発を目的として、聴覚および視覚刺激を用いたニホンジカの誘引方法について、Y字型迷路を用いて検討した。 その結果、雄ジカが交尾期に発するAgonisedcallとすべての周波数が混入したホワイトノイズをY字型迷路実験で同時に提示したところ、雌ジカはAgonisedcallを有意に多く選択(P<0.05)することを明らかにした。さらに、人工芝による誘引効果をY字型迷路実験で調べた結果、雌ジカは枯葉を模した茶色の人工芝よりも緑色で、しかも草高がより高い人工芝を有意に多く選択(P<0.05)したことを明らかにした。今後は、これらの刺激を誘引資材として用いて、実際の捕獲現場で検証を行う予定である。聴覚および嗅覚刺激を用いたニホンジカ(Cervus nippon)の誘引檀上 理沙修士論文農学研究科 食料生産科学専攻等身大シカ模型に誘引される供試ジカ人工芝とシカエアロゾルの室内挙動の観測結果2-1 環境教育 �������������������������������修士論文26

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