agriculture2012
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左の写真は、アカマツ林に発生した野生のマツタケ子実体、右の写真は、in vitro (実験室的)に作出されたマツタケ-アカマツの菌根外観(上)とその横断面 (下)です。私たちのマツタケ人工栽培化研究では、人工シロ(マツタケ子実体が発生する土壌中のコロニー)の作出まで成功しています。精巣中の精原幹細胞は分化して精子を形成する他、幹細胞として自己複製も行っています。私たちは、この細胞を用いて哺乳動物の遺伝操作ができないか研究しています。この写真は緑色蛍光の遺伝子マーカーを導入したマウス精原細胞を、別の個体の精巣に移植し、移植細胞由来の精子が形成されることを示したものです。ソバと漬物は信州の重要な地域資源です。漬物は植物を乳酸発酵させたものですが、ソバは実だけでなく茎や葉も食べられるので漬物にすることができます。そこで、この二つの地域資源を組み合わせたソバの漬物・発酵キョウバクを開発しました。発酵キョウバクは、ヒト本態性高血圧のモデル動物である高血圧自然発症ラットに対して降圧作用を示し、その効果は高血圧治療に使われる薬剤・カプトプリルに匹敵するものでした。この非常に優れた降圧作用は、血圧上昇物質を作り出す酵素の阻害と血管拡張のダブル効果によるものであることがわかっています。現在、我が国最大の生活習慣病である高血圧症を予防する機能性食品として、発酵キョウバクを実用化するための試験が進められています。アミノ酸の発酵生産法は世界に先駆けて我が国で発明された日本発の技術です。そこで主役を演じているのが微生物です(写真左)。しかし、発酵のしくみには未だ多くの謎が残されています。私たちは、アミノ酸発酵菌のゲノム情報を読み解き(中央)、アミノ酸の効率的な生産に大事な働きをする遺伝子変異を突き止め、発酵の全貌を科学的に解き明かしたいと思っています。これまでに見出した有用な遺伝子変異を組み合わせると、生育が各段に速くなった画期的な生産菌が創製できることを見出しています(右)。光合成微生物は太陽光を利用して様々な物質を合成することができます。我々は、遺伝子工学や蛋白質工学を駆使して、石油代替物質や生理活性物質を高効率に生産する新しい光合成微生物を作り出そうとしています。キノコがさまざまな生理活性成分を有していることは広く知られています。私たちは、枯れた白樺の表面に発生するカンバタケというキノコが動物の皮膚の炎症を抑制することに着目しました。このキノコから活性成分を単離し、これまでに発見されたことのない新しい化合物を見出しました。今後、薬としての利用などが期待されます。カメレオン領域 (環境によって形が変化します)Department of Bioscience and Biotechnology12応用生命学科で行われている研究の一部を紹介します。

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