第9回日本口腔ケア協会学術大会

この度第９回日本口腔ケア協会学術大会を、2015年11月15日（日）信州松本の地で開催させて頂くことになりました。本会開催の機会を頂きましたことに、理事長はじめ役員各位および会員の皆様に心より感謝し御礼申し上げます。

「口腔ケア」は広く世間に浸透し、今や知らぬ人がいないと言っても良いものとなりました。医療や介護の現場のみではなく、学校や一般家庭でも広く行われるものとなっています。口腔ケアの効果や必要性を疑うことはないと思われますが、口腔ケアはあまりにも日常的なケアであるが故に、理論的な裏付けが少ないのも事実です。

また、口腔ケアには他職種（医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士、介護福祉士、ケアマネジャーや介護福祉の支援に関わるリハビリスタッフなど）が携わっており、職種の違いにより理解や方法の違いも散見されます。また、近年「周術期の口腔機能管理」を始めとして、医療現場で口腔管理（歯科感染巣のコントロールや口腔機能改善）が求められるようになっています。口腔管理についても実践が先行し、理論的な裏付けがまだ少ないのが現状ではないでしょうか。

今回の学術集会では、メインテーマを「口腔ケア・口腔管理の均てん化を目指して」としました。プログラムでは、がんの支持療法としての口腔ケア・口腔管理に関する国際的潮流（MASCC・ISOOのガイドライン）に関して、岡山大学病院岡山大学病院　中央診療施設　医療支援歯科治療部　曽我賢彦先生に御講演頂きます。また、２つのシンポジウムを企画しました。ひとつは「口腔ケア方法の均てん化を目指して（各施設のケア方法を見てみよう）」と銘打って、多くの施設から、また、他職種から口腔ケア方法をご紹介頂き、理論的に効率よく効果の上げられるケア方法を探っていきたいと考えています。

もうひとつは「がん支持療法としての口腔機能管理の均てん化を目指して（clinical suggestion作製を目指して）」と銘打ったシンポジウムで、周術期の口腔機能管理の指標について御討論頂きたいと考えています。口腔ケア・口腔管理に「標準的な方法」は無いかもしれません。しかし今回の学術集会では、口腔ケア・口腔管理を行っていく上で押さえるべき理論やエビデンスについて学び、効率よく効果の上げられる「口腔ケア・口腔管理」について考えていきたいと思います。これらの企画を通して、職種や施設を越えて、口腔ケア・口腔管理の均てん化に少しでも結びつけばと願っております。

松本市は城下町として知られていて、三ガク都市：岳（山）、学（学問）、楽（音楽）の都市としても知られています。北アルプスの懐に抱かれ、温泉など観光地も豊富にあります。11月の信州は絶好の観光シーズンです。松本の地で、学問と観光を楽しんで頂ければと願っております。皆様、多くの方々のご参加をお待ちしております。

信州大学医学部歯科口腔外科学教室　栗田　浩