地域社会イニシアティブ・コース

 

 

地域社会イニシアティブ・コースでの経験を活かしています。

染川竜子さん(長野県軽井沢町在住)  TEXTILE STUDIO羽65主宰

染川竜子さん
長年にわたって工芸の道を歩いてきた私は、日頃から自分の仕事のことしか頭の中になく、それに伴う自分の分野・興味しか関心がない生き方をしてきました。

そのような状況で、時として人は自分の歩いてきた道を立ち止まり、そして振り返ることがあります。そのきっかけは人それぞれのケースがありますが、私の場合は怪我で入院した時でした。ふと自分のこれまでの仕事の行き方を考えた時、まわりの人々、例えば自分の作ったものを大切に使ってくれる人、地域に住んでいる人々がいるから自分の仕事が成り立っているのだと気がつきました。

そのような時期に、地域に開かれた「地域社会イニシアティブ・コース」が開講されることを知り、自分のこれからの方向性を客観的、なおかつ包括的にとらえ、私は何を地域社会に貢献できるか、その課題解決のきっかけとして入学を考えました。

入学後2年間は仕事と研究の両立に大変なことも多かったのですが、楽しみながら取組むことができ、今後の方向性を論文という形に結実することができました。

地域社会イニシアティブ・コースで学んだことの大きな意味は「地域社会において自分に何ができるかというテーマ」の具体的な答えを見つけるためのアプローチの仕方と、それを実現するツール及びスキルを身に付けることが出来たことです。いつも的確な指導と示唆を下さる指導教員や社会経験豊かで多様な同級生達の意見・考察が、いつしか私の世界を拡げて豊かな収穫をもたらし、今後の方向性に基づく論文を提出することが出来ました。

早いもので修了後、2年が過ぎようとしていますが、その間、書いた論文を具現化するためにいくつかの実施と試みをしています。例えば地域の障害のある人達の経済的な自立と自活を視野に入れた染色ワークショップでのエコバック作り、また生涯教育の一環で行なった親子の藍染めワークショップなどです。2007年には私とは違う分野の工芸家のワークショップの企画を予定するなど、少しずつ地域社会とのネットワークが広がりつつあります。

地域の人達や行政との関わりの中で、お互いの意識や手段の乖離など問題山積ですが、その問題解決においていつも念頭においているのは、大学院での研究と提出した論文のことでした。論文に捉われては現実が見えなくなることもあり、また目の前のことに捉われると目標が分からなくなることもしばしばありました。私が書いた論文の具現化を登山に例えると、今は5合目ぐらいではないかと推測しています。ある時は道を修正したり、回り道をしながら大学院で学んだことや提出した論文をナビゲーションとして、現在、地域社会という山を登攀中というところです。

手島康二さん(山梨県北杜市在住)  株式会社ビオクラ食養本社勤務

手島康二さん
平成15年度よりスタートした地域社会イニシアティブ・コースは、主に社会人を中心としながら、その名の通り、経済学や地域社会に関連する諸問題を研究する場であるといえるでしょう。私はその第一期生として平成17年3月にこのコースを修了しましたが、在学中の2年間を振り返った時に、強く思うところがあります。

それは、この地域社会イニシアティブ・コースで学ぼうとする者が、先ず大前提として行っておかなければならない作業は、入学試験時の小論文作成や質問攻めの面接をいかにしてクリアするかというノウハウを身に付けることなどではなく、地域社会や会社組織などの中において、社会人としての自分がそれまで「どんな事象に対して」「如何なる問題意識を持って」悩み、考え、主張し、時には挫折もし、答えを求めてきたかを、改めて明らかにしておく作業なのだということです。

本コースに限らず、大学院は基本的には学生が自ら学ぼうとする場でありますから、「とりあえず入学して学費を納め」「先生方から高度な内容の学問を教えていただこう」という、受身の姿勢を持った学生は存在しないようです。よって、殊に本コースに限っていえば、入学してくる者皆が、前述のごとく「問題意識」を抱えながら、その問題解決への糸口を見出すべく、「積極的に飛び込んできた」結果として、いわば自然発生的な「意志」の集団として成立した大学院なのではないかと考える次第です。

想えば、「地域の政治文化」という題目の講義中に、幕末から維新にかけて日本を動かした、名を挙げてもわずか数百名足らずの青年達の強大な意志力・創造力について、熱く解説をはじめる学生がいる。そして「公共政策の経済分析」の講義では、ノート上の需要曲線と睨み合いながら、ミクロ経済学の片鱗を否応なく覗かされつつ、限界代替率や意志決定の理論について考えたりする。また、「地域の少子高齢化と生活福祉」などの講義においては、問題点の要点や対策をめぐる意見交換のセッションから、ジェンダー問題に関する討議へと進展してしまったりする。

たしかに、こうして大学院で学ぶ講義の内容は、かけがえのない学びの経験、といえるでしょう。しかし一方では、そうした自律的な研究体験を積み重ねて、大学院生としての所定の年数を終え、最終的に修士論文を提出することだけが、真に地域社会イニシアティブ・コースの学生に求められる課題であるかというと、私は決してそれが全てだとは考えておりません。企業や自治体など実社会の中で学んできた社会人が、再度「学生」という立場で学ぶことの意義は、このあたりに見出すことができるように思えてならないのです。

要は、本コースの修了生は、再び元の「職場」に「戻る」わけであり、そこで発揮される力は、大学院で取得した学位以前に、蓄積された経験と上積みされた経験に基づいて、問題解決能力として評価されていく類のものでなければならず、事実ここまで4期にわたる本コースの修了生と在学生は、今そのことを具現化しつつあると実感しております。

百聞は一見にしかず。あなたも地域社会イニシアティブ・コースのドアを叩いて下さい。

山岸周作さん(長野県上田市在住)  上田福祉敬愛学院 教授 長野大学附属地域共生福祉研究所 客員研究員

山岸周作さん
大学院を修了してはや二年の歳月が流れ去ろうとしている。
当時の私は、在宅福祉の村として有名な長野県下伊那郡泰阜村や上水内郡小川村などでの現地でのヒアリング交えた調査・研究を行っていた。調査開始当初は、暗中模索、まさに右も左も分からぬ状態であり、今思えば恥ずかしい限り、調査とは名ばかりの「調査的なるもの」を行っていたにすぎなかった。しかし、大学院の講義を受講し、実際に先生方のフィールドワークに同行させていただくなどの貴重な体験を通じ、あたたかくも厳しい指導や叱咤激励を受けながら、地域に暮らす人々の目線に立った調査・研究の基礎を身につける機会に恵まれたことは、現在の私にとって大きな財産となっている。地域に密着した研究を徹底的に行うことによって、調査・研究の基礎を確実に身につけることができる、そんなところも地域社会イニシアティブ・コースの魅力といえる。

現在私は、上田市にある大学附属の研究所において地域福祉に関する研究に携わりながら、介護福祉士養成課程を持つ専修学校等において社会福祉概論等の教科を教えている。

今でも下伊那郡泰阜村をフィールドとした調査・研究を継続して行っており、限界集落における高齢者の生活等に関する研究論文等を社会保障の専門誌や大学紀要などに掲載し、複数の学会において発表を行う機会も得ることができた。それぞれの研究の基礎には、院生時代に手に入れることができた調査・研究に関する様々な手法や技法、そして人脈が存在した。調査・研究の基礎を身につけることができた院生としての二年間は、私にとってかけがえのないものであると感じ、根気強く指導してくださった先生方やともに支え合った仲間たちに、今あらためて心から感謝している。


 
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