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医学部附属病院遺伝子診療部の古庄知己准教授が平成25年度日本医師会医学研究奨励賞を受賞しました。

2013.11.08

医学部附属病院遺伝子診療部の古庄知己准教授が、平成25年度日本医師会医学研究奨励賞を受賞し、平成25年11月1日に日本医師会館にて開催された第66回日本医師会設立記念医学大会において表彰されました。本賞は、毎年1回、基礎医学・社会医学・臨床医学を通じ、医学上将来性に富む研究を行っている15名に授与されます。日本医学会分科会長、大学院医学系研究科長または大学医学部長・医科大学長、大学附属病院長(本院)、関係機関長、都道府県医師会長から推薦され、選考される名誉ある賞です。古庄准教授は信州大学医学部附属病院天野直二病院長の推薦を受け、受賞しました。信州大学からは平成17年度の新藤隆行教授(循環病態学講座)以来2人目の快挙です。

受賞対象となった研究題目は「デルマタン4-O-硫酸基転移酵素-1欠損に基づくエーラスダンロス症候群の病態解明と治療法の開発」です。古庄准教授は、10年前に顔貌上の特徴、先天性多発関節拘縮、そして進行性の全身結合組織脆弱性を呈する1人の患者さんに出会いました。その後、症例の蓄積から新規症候群であることを確信(Kosho et al., 2005)、国内多施設共同研究により原因遺伝子がデルマタン4-O-硫酸基転移酵素1(D4ST1)をコードするCHST14であることを突き止めました(Miyake et al., 2010)。D4ST1は、コンドロイチン硫酸(CS)とともに、プロテオグリカンのグリコサミノグリカン(GAG)鎖を構成するデルマタン硫酸(DS)の生合成に必須の酵素です。本酵素の欠損により、コラーゲン細繊維をきつく束ねるのに重要な役割を果たしているデコリンというプロテオグリカンのGAG鎖が、健常人であればほぼDSであるのが、患者さんではすべてCSに置き換わっていました。これによりコラーゲン細繊維がうまく束ねられなくなった結果、全身の進行性結合組織脆弱性を生じることがわかりました(Miyake et al., 2010)。本疾患の存在には古庄准教授らを含め世界の3チームが別々の患者さんを通じて独立に気づいており、ほぼ同時期に原因遺伝子を突き止めました。古庄准教授は、臨床症状を詳細に分析し、これらの患者さんは臨床的にも同一の症候群であると結論づけ(Kosho et al., 2010; Shimizu et al., 2011)、「デルマタン4-O-硫酸基転移酵素1欠損に基づくエーラスダンロス症候群(D4ST1-deficient EDS;DDEDS)」と命名しました(Kosho et al., 2011)。本症候群は現在までに世界で26人が論文報告され、さらに国内外で新たな患者さんが続々と見つかっており、比較的頻度の高い疾患ではないかと考えられています。日本人が、オリジナルな発想で新規疾患の発見そして疾患概念の確立に貢献することはきわめてまれです。古庄准教授の発見は高く評価されて、2011年度日本人類遺伝学会奨励賞、第116回日本小児科学会学術集会最優秀演題賞(広島県知事賞)を受賞しました。また、本年に発足した世界EDSコンソーシアムにおいて、本症候群を含めたEDSサブタイプに関する臨床研究班の代表に任命され、世界的にも本症候群の臨床的、基礎的研究をリードしています。

古庄准教授は、平成24~25年度厚生労働科学研究費難治性疾患等克服研究事業「デルマタン4-O-硫酸基転移酵素-1欠損に基づくエーラスダンロス症候群の病態解析および治療法の開発(DDEDS班)」の代表者として、進行性の結合組織脆弱性に起因する関節弛緩・変形、反復性の巨大皮下血腫による著しいQOLの低下や生命の危機に苦しむ患者さんのために、臨床的および基礎的研究を推進してきました。現在、本学医学部組織発生学講座(佐々木克典教授、岳鳳鳴講師)、分子病理学講座(中山淳教授)、国立精神・神経医療研究センター遺伝子疾患治療研究部(武田伸一部長、岡田尚巳室長)など国内専門家との共同研究により包括的病態解析および治療法の開発に取り組んでいます。病態解析としては、1)患者検体を用いて、デルマタン硫酸生合成異常がどのようにコラーゲンネットワークの微細構造異常を来すかの検討、2)既に樹立しているiPS細胞から多系統の細胞への分化誘導と機能解析、3)ノックアウトマウスの表現型、病理学的、生化学的、生理学的解析を行います。治療法開発としては、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを工夫、患者皮膚線維芽細胞、iPS細胞、ノックアウトマウスへの治療実験を実施し、安全かつ有効な遺伝子治療法を探ります。この研究計画が評価され、今回の受賞に至りました。古庄准教授は、「受賞を励みに、これからも目の前の患者さんと真摯に向き合いながら、また共同研究者と活発な交流を行いながら、『信州から世界へ』を合い言葉に独創的な研究を展開していきたい」と話しています。

研究の一部は信州医学誌(59号5巻、305-319ページ、2011年)にまとめられておりますので、ご参照下さい。

信州大学医学部附属病院遺伝子診療部
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/PM/

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