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研究トピックス 研究活動詳細

長年探し求められてきた仮想分子はLRP4であった

疾患予防医科学系専攻 分子細胞制御学部門 神経可塑性学講座

  シナプスは単に神経シグナルの流れる「通路」ではなく、神経シグナルの流れやすさや大きさを自己調節している。このシナプスの持つ可塑性が巨大な神経回路網の機能を最大限に発揮させる。シナプス内には非常に精巧な情報処理分子装置 (Postsynaptic density, PSD) が備わっているが、それは500から1000種類のタンパク質が集まって作られている。新規PSD分子の一つとして我々が数年前に見つけたのがLRP4という、シナプスにはこれまでに見つかっていなかったタイプのレセプターである。一方、神経・筋接合部の形成は神経終末から分泌される糖タンパク質agrinが筋側に作用することによって起きるという「agrin仮説」が1990年に提唱されていたが、agrinと筋側のMuSK (Muscle-specific kinase)の間にギャップがあり、その間に仮想分子の存在が予想されていた。最近、Lin Mei博士との共同研究で、このLRP4分子が、長年にわたって探し求められてきた仮想分子そのものであることが明らかになった (Neuron, 2008)。この分子の欠損では神経・筋接接合部の形成が起きなくなる。その異常が重症筋無力症の原因の一つではないかとも示唆されている。LRP4に関しては現在、コンディショナルノックアウトマウスが完成間近で、今後は脳内のシナプスにおけるLRP4の機能、関与する病態の解明を目指している。LRP4以外にも、多くの未解明のPSD分子の探求を行っている(図1)。

 

図1