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研究トピックス 研究活動詳細

ピロリ菌から胃を守る糖鎖

分子病理学分野 病態解析診断学講座

慢性胃炎や胃・十二指潰瘍、胃癌の原因であるピロリ菌は世界人口の約半数に感染していますが、感染者が必ずしも重篤な胃疾患に進展するとは限らないこともよく知られています。この事実は胃粘膜自体にピロリ菌に対する何らかの防御因子が存在している可能性を示しています。ピロリ菌は胃粘膜の表層に棲息し、深層には認められません。胃粘膜深層の腺粘液細胞から分泌される粘液は特徴的にα結合型N-アセチルグルコサミンを含む糖鎖を含んでいます。最近我々は、この糖鎖がピロリ菌の細胞壁に特徴的な糖脂質であるコレステリル-α-D-グルコピラノシドの生合成を阻害することでピロリ菌の増殖や運動能を抑制し、その結果ピロリ菌感染から腺粘液細胞自身を防御していることを発見しました。α結合型N-アセチルグルコサミンは元来胃の腺粘液内に存在しているから、この研究成果を基に副作用のない新たな抗ピロリ菌薬の開発へと発展することが期待されます。

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α結合型N-アセチルグルコサミンの存在下で培養したピロリ菌(αGlcNac(+))では菌の形態に伸長等の著明な変化が認められる。コントロールは、α結合型N-アセチルグルコサミンの非存在下で培養したピロリ菌(αGlcNac(-))。スケール= 1μm
(Kawakubo et al. Science 305, 1003-1006, 2004より許可を得て引用)