平成24年司法試験合格者による座談会を行いました。

合格者のみなさん
小池 さやか
静岡大学人文学部卒業 長野県出身

冨沢 大樹
早稲田大学法学部卒業 長野県出身

堀米 美聡
筑波大学社会学類卒業 長野県出身

古賀 礼子
東京学芸大学教育学部卒業  東京都出身

【司 会】
成澤孝人 信州大学法科大学院教授

成澤
合格者のみなさん。合格おめでとうございます。お一人ずつ、合格の感想をお願いします。

冨沢 
ホッとしています。と同時にお世話になった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

小池
先生方をはじめ、多くの方々に支えられての数年間だったので、良い報告をすることができ本当にうれしいです。

堀米
自分が合格できるとは思っていなかったので、発表を見た時はとても驚きましたが、今は、ふつふつと嬉しさが込み上げています。それと同時に、これから頑張らなくてはと決意を新たにしています。

古賀
3回目の受験での合格だったので、法務省掲示板で自分の番号が目に飛び込んだときの喜び、胃が震え上がる感動は忘れることができません。先生方の応援、仲間の支えがあっての合格です。ありがとうございました。

成澤
古賀さんは、僕が信大に赴任する前の年の入学生で、はじめてお会いしたときには赤ん坊を育てるお母さんでしたよね。出産・育児をやりながらの司法試験合格は、誇るべき快挙だと思います。そのあたりのことをお聞きしてもいいですか。

古賀
わたしは、先生が信大にいらっしゃる前、1年生の後期期末試験期間中に出産しました。あのときローの先生方には、追試等いろいろ配慮していただきました。在学中、育児と勉強の両立は大変でしたが、先生方から暖かい応援をいただきながら卒業し、司法試験に合格することができたのは、信大ローのおかげだと思います。

成澤
3回目であるというプレッシャーはありませんでしたか。

古賀
信大ロー卒の合格者は、成績順に合格している状況があり、順番として次に合格するのは自分なのだと信じていました。そういう意味では、安心して三回目の受験に取り組めました。そのような自信をもつことができたのは、信大ローの指導と院生評価が適正だからだと思います。先生方の指導を信じて勉強し、合格できてよかったです。



信大ローの環境について

成澤
合格したみなさんの顔ぶれをみると、僕ら教員のいうことを素直に吸収し、こつこつと着実な努力をした人たちばかりです。そういう意味では、今年の結果は、来年以降につながる内容だったというのが僕の感想です。みなさんから、信大ローの環境が合格とどう結びついたか、お話しいただけますか。

小池
授業やゼミ等を通じ、先生方に熱心に最後までご指導頂けたことが合格につながったと実感しています。また、卒業後も在学時と変わらぬ勉学環境を用意して頂けたからこそ、勉強を続け合格できたと思っています。

成澤
今振り返ると、小池さんは、講義への取り組みが本当に熱心でしたよね。何度も質問攻めにあった記憶があります。修了しても在学時と変わらぬ勉学環境というと、具体的には、どのようなものがあったでしょうか。

小池
信大ローの修了生は、自習室をはじめとする大学の施設を使用できるのはもちろん、ローの先生が指導してくださる院生自主勉強会や長野県弁護士会の信州大学法科大学院バックアップ委員会主催のゼミに参加できます。当然のことですが、すべて無料です。ローの講義を受けることもできますよ。

冨沢
小池さんがいうように、信大ローの先生方と長野県弁護士会信州大学法科大学院バックアップ委員会の先生方、事務の方々のサポートがしっかりしており、安心して勉強に取り組むことができたことが合格につながりました。また、自習室は、ほぼ一年中24時間使えます。この自習室はとても使い勝手が良く、集中して勉強に取り組むことができました。都内の大きなローでも夜には閉まってしまうことが多いということですので、この点は、本当に助かりました。

成澤
在学生から聞いたのですが、富沢君は、昨年からチューターとして在学生の勉強をみてくれています。それで司法試験合格も果たしてしまうのですから、教員としてはありがたいですね。

冨沢
人に教えることは、意外と勉強になるんですよ。少しですがお金も大学から出ますし、一石二鳥でした。

古賀
私は、信大でできることは全部利用しました。先ほどから話題になっている自主ゼミや、弁護士会のバックアップ委員会主催のゼミにも参加しました。冨沢さんがされているチューター制度は、信大がはじめて合格者を出した2009年にはじまりました。信大ロー初の合格者の先輩にチューターになってもらって、いろいろ教えてもらったことを思い出します。わたし自身もチューターとして後輩を教えましたが、それが基本知識中心に理解を深める契機になったり、モチベーション維持に役立ちました。冨沢さんがいうように、この制度は、実は、受験生のためにもなっていると思います。

成澤
信大ローの自主ゼミは、院生がしきってくれるのですが、僕ら教員が参加します。僕らにとってはボランティアですが、こうしてゼミ出身者から合格者がでると、喜びもひとしおです。古賀さんは、修了後は東京に帰ったにもかかわらず、ゼミの答案は送ってきていましたよね。

古賀
東京に引っ越した後も通信教育という形で信大ローとコンタクトを取り続けていたことによって、精神的に安心することができました。このような信大のサポート体制は、他のロースクール出身の友達にもうらやましがられます。今後もぜひ続けてほしいと思います。

堀米
司法試験合格との関係で、わたしが強調しておきたいのは、先生方が講義で配るレジュメのレベルの高さです。信大ローの先生方が作るレジュメは、司法試験の過去問を踏まえて練り込まれたものが多く、私は、司法試験本番まで勉強の中心的教材として使っていました。先生方の説明を直に講義でお聞きし、自分でメモし、さらに分からないところを先生方に質問して自分で補充します。すると、レジュメそのものの質がとてもよいので、自分だけの教材となって、受験勉強の強力な武器となります。そのおかげで私は合格することができたといってもよいくらいです。



信大ローでの院生生活

成澤
次に、信大ローでの院生生活についてお聞きしたいと思います。在学中を振り返って、今、どんな感想をお持ちですか。

小池
同じ目標に向かい頑張っている仲間がいたからこそ、ハードな毎日を乗り越えることができました。大変でしたが、仲間に恵まれ、楽しいロー生活でした。

冨沢
同期は様々な考え方を持つ人が集まっており、いろいろな刺激を受けることができました。先輩後輩の関係も良く、一緒に勉強をすることもありました。現に、古賀さんは私の一つ先輩ですが、自主勉強会を組み一緒に先生方の指導を受けたこともあります。

古賀
それは、わたしが3年生のときのことですね。たしかに、信大ローは、縦の関係・横の関係が密接です。

堀米
私は、入学直後の院生同士の懇親会で、全員で合格しようという決意を固めたのを鮮明に憶えています。また、学期末の試験後に、先生方も含めた打ち上げをして、そこで半年間頑張ったことをたたえ合い、次の学期に向けて気持ちを切り替えたこともよい思い出です。信大ローでは、仲の良い友達が多くでき、他では得難い人生の糧となりました。

成澤
ところで、みなさんはどうして信大ローを選択したんですか。他のローも併願したのでしょうか。

小池
私は他のローも受験しました。ただ、出身地の長野で将来弁護士をやりたいと考えていたので、「自分たちの後輩は自分たちで育てる」との方針で長野県弁護士会が全面的にバックアップしている信大を選びました。

冨沢
私は信州大学しか受験しませんでした。理由の一つ目は、地元の長野県弁護士会のバックアップがあるということです。また、信州大学法科大学院は、都内のローと比べると少人数制であり、先生方の丁寧な指導を受けることができると思いました。さらに、信州大学には法学部がないために、様々な人が集まるというのも魅力的だと思いました。

古賀 
わたしは、旧司法試験に挑戦していたのですが、独学で勉強していたこともあって、じっくり基本から学習したいと考え、それには少人数制の信大ローがいいと思い、信大を選択しました。他の受験も考えていたのですが、信大ローの合格が決まったので、他は受験しませんでした。

堀米 
私は自宅が長野市にあるので、自宅から通える信大ローを選びました。大学時代から、下宿代などの経済的負担を親にかけるのは悪いなという気持ちがあったからです。実際、勉強の上で必要となる法律書などは値が張るものが多いですから、下宿代の他にも持ち出しが何かと多いのが事実です。地方出身者にとっては、自宅から通える地元のロースクールはお勧めです。他のローは受験しませんでした。



長野県と信大ロー

成澤
今年の合格者は、3人が長野県出身です。長野県出身者としての信大ローの魅力を語ってください。

小池
長野で働いていらっしゃるたくさんの弁護士の先生方とお会いすることができるので、長野で弁護士をやろうと考えている人にはおすすめです。お話をお聞きすることで勉強のモチベーションもあがると思います。

冨沢 
先に合格された先輩方のうち長野県で就職を希望された方々は100%の割合で県内に就職しています。弁護士の就職難が言われていますが、将来長野県で働きたいと思っている人にとってはとても魅力的なことだと思います。

堀米 
私からみた最大の魅力は自宅から通えることです。自宅を拠点に勉強ができるので、家族との生活も大切にできます。また、将来、長野県で法曹として働きたいと考えるのであれば、長野県弁護士会所属の先生方と親しくなれるのは、とても大きな魅力だと思います。

成澤
今のところ、長野県での就職率は100%ですから、そこは大いに強調したいと思います。現在、弁護士の就職難が社会問題になっていますが、長野県弁護士会の全面的なバックアップを受けている信大ローは、その心配だけはないといってよいでしょう。
しかし、信大ローは、長野県出身者のローというわけではありません。東京や名古屋からも多くの院生がきています。東京出身の古賀さんからみて、信大ローの魅力はどんなところにあると思いますか。

古賀 
たしかに、特急あずさや高速バスを利用すれば東京の実家に帰りやすいことも、信大を選んだ理由の1つでした。しかし、わたしが信大を選んだ大きな理由は、松本市が子育てに適していると思ったからです。実はわたしは、最初から、ロー在学中に出産して子どもを育てながら司法試験を受験しようと考えていました。松本市は、待機児童ゼロを標榜していましたし、元々医学部研究生が学業従事を理由に保育園を利用しているケースがあったようで、学生ママを応援してくれる環境が整っています。松本市の保育園には子どもを安心して預けることができ、勉学に専念できます。延長保育制度ファミリサポート制度も充実しており、そのような制度を利用することで、夜に実施されるゼミへの参加も可能になりました。また、子どもは、のんびり澄んだ空気で自然に囲まれながら成長できます。ママ受験生が勉強できる環境として信大ローのある松本市はとてもよいと思います。

成澤
松本市にそのような魅力があったとは、初めて知りました。全国のママ受験生に強烈なアピールになりましたね。

冨沢
松本は夏は涼しく勉強には適していると思います。冬は寒いですが、自習室は暖房完備なので、それほど問題はありません。浅間温泉も大学の近くにあり、銭湯価格で入れます。2年または3年じっくり勉強するにはよいところだと思います。



信大ローの将来

成澤
今年の合格者のみなさんは、教員の立場からみていても本当に努力している人たちだったので、わたしも本当にうれしいです。ただ、力がありながら、残念ながら不合格だった人がいることも事実です。来年以降の信大ローについて、今年の合格者のみなさんから見通しを聞かせてください。

古賀 
私は3期生で2回浪人したので、1期生から現在の6期生までの様子を知っていますが、ずいぶんと院生・教員の意識改革が行われ、信大ロー全体の取り組み方も変わってきているので、今後、よい結果がでていくと思っています。来年は、浪人生の合格者数が一定程度期待できるだけでなく、カリキュラム改革の1期生となる来年の卒業生から現役合格者数の増加が見込めます。したがって、わたしは、来年こそ大量合格を実現できると思います。

小池
私も精一杯勉強に励んできたつもりですが、そんな私から見ても後輩達は本当によく勉強しています。私も一度不合格を経験しましたが、信大のサポートを受けながら何とか合格することができました。今年不合格だった人は、あきらめず集中力を保ち最後まで頑張りぬけるかにかかっていると思います。力のある人ばかりです。来年こそ合格をつかみ取ってくれると思います。

成澤
大量合格はともかくとして、一人でも多くの修了生を合格させるよう、僕ら教員も努力するつもりです。また、古賀さんが指摘してくれたように、演習中心のカリキュラム改編が2010年に行われ、その結果が来年に出てくれるのではないかと期待しています。ただ、ロースクールとしては、法律家以外の進路も用意すべき時期に来ていると思います。冨沢君と小池さんには、2年生の時に、信大ローのパンフレットにも出てもらいましたよね。あのときの5人の中で、2名が合格したということで、わたしとしても本当に感無量ですが、あとの3人はどうしているのか知っていますか。

冨沢
あのときには5人で座談会をしましたね。私以外の男性2人は公務員になっています。都道府県職員と市役所職員です。

小池
もう一人の女性は、がんばって勉強しています。来年は、きっと合格してくれると信じています。

成澤
データをみると、相当数の修了生が、国家一種、二種、都道府県、市町村、裁判官事務官などの公務員になっています。信大ローで一生懸命司法試験の勉強をした人は、公務員試験に合格する力が自然とついているということだと思います。


目指す法律家像

成澤
最後にどんな法律家を目指しているのか聞かせてください。

小池
人の痛みに心を寄せられる、強くて優しい弁護士になりたいです。

冨沢
地域に根差した法曹になれるように琢磨していきたいと思っています。

古賀 
信大ローで出会った他学部出身の仲間と一緒に、面白い経歴だからこそ特色のある法律家として頼りになる存在になっていきたいと思っています。

堀米 
私は出身地である長野県でローに通い、司法試験に合格することができました。今後も地元地域に根付いた法律家になりたいと思います。地域の方々の様々な悩みや困りごとを、親身になって聞き、適切な解決へと導くことのできる法律家を目指したいです。

成澤
みなさん、きっとよい法律家になると思います。今日は、ありがとうございました。

(10月1日信州大学にて)

以   上