平成22年新司法試験合格者による座談会の模様を掲載します。

【合格者】
李栄愛
2004年3月 朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒業
2006年4月 信州大学法科大学院入学
2009年3月 修了

森山大樹
2006年3月 信州大学工学部社会開発工学科卒業
2006年4月 信州大学法科大学院入学
2009年3月 修了

田村仁志
2000年3月 一橋大学法学部卒業
駒ヶ根市役所勤務を経て、
2007年4月 信州大学法科大学院入学
2010年3月 修了

北澤良兼
2007年3月 山梨大学工学部卒業
2007年4月 信州大学法科大学院入学
2010年3月 修了

今井智恵
2006年3月 東京都立大学法学部卒業
2007年4月 信州大学法科大学院入学
2010年3月修了

【司 会】
成澤孝人 信州大学法科大学院准教授

成澤
みなさん本当におめでとうございます。

田村 
先生方には、講義だけでなく、自主勉強会で本当にお世話になりました。信大ローの先生方はみんな一生懸命で、僕たちが合格したのも、先生方に熱心に指導していただいたおかげだと思っています。


ロースクールとは直接関係のない話ですが、長野県弁護士会の先生方が信大ロー生のために自主ゼミを開いてくださっており、私は研究者の先生方との自主勉強会だけでなく、弁護士の先生のゼミに参加することでも力をつけました。長野県弁護士会の先生方も本当に熱心に指導してくださいました。ロースクールと弁護士会の熱意ある指導に激励され、勉強のモチベーションがあがったことが合格につながったのだと思っています。

成澤
手前みそで恐縮ですが、確かに信大ローの教員には教育熱心な人が揃っており、院生へのサービスという点では、充実しているのではないかとひそかに思っています。ほかに信大ローの環境が合格と結び付いたことがありますか。

今井
合格して改めて感じることは、新司法試験は、ロースクールの授業と直結しているということです。私は、ロースクールの講義を中心に基本的知識や考え方を身に付け、先生方と一緒に行う自主勉強会で応用力と具体的な事案の処理能力を得ることができました。

北澤
僕は、理系出身で、全くの未習者でしたが、信大ローの講義のレベルは、難しすぎず易しすぎず、ちょうどよかったと思います。また、自主勉強会で短答・論文の力をつけることができました。そういう意味で、信大の教育体制は十分だと思います。

田村
僕もほぼ同じ意見です。講義で基礎的な力をつけることがまず重要で、その次に、勉強会を利用して、得た力を答案にして出す訓練を何度もしました。また、入学と同時に自習室の机と椅子が院生一人一人に与えられるのですが、院生しか入れない自習室は、24時間利用可能で非常に快適です。私は、時間を見つけたらひたすら自習室で勉強していました。


わたしは一年遅れての合格ですが、信大ローでは、修了生も法科大学院の提供するすべてのサービスを受けることができます。もちろん自習室も使えます。また、先生方が、修了生に対して特に気にかけてくれて、熱心にフォローしてくださいました。事務の方々も、修了生のために勉強しやすい環境を整えてくれました。

森山
信大ローの院生は、卒業後、松本に残って勉強する組と実家に戻る組がいて、李さんは松本組ですが、僕は卒業してから実家のある東京で予備校に通っていました。ただ、卒業してからもローの先生に添削をしてもらっており、これは非常に役に立ちました。

成澤
今、森山君から予備校の話が出ましたが、ロースクールを受験する大学生から、松本には予備校がないから心配だという声を聞くことがあります。この点についてはいかがですか。

田村
新司法試験では、予備校の模範解答を模倣する「自動販売機型」答案では合格できません。今井さんも言っていたように、ロースクールの講義と新司法試験は直結しています。東京のローに通っている人も、在学中には予備校に通っている人は少ないのではないでしょうか。森山さんのように卒業後、予備校を利用する人はいると思いますが、松本にいる限りは、先生方の指導を受けることができるので、その点は全く心配ありません。ただ、模試だけは受けておく必要があります。僕たち信大ロー生は、院生独自で受験者を募って会場を借りて受けています。

成澤
予備校がないことは、信大にとってマイナスではないということですね。

北澤
むしろ、予備校がないような地方都市だからこそ、先生方の熱心な支援を得て、静かな環境で集中して勉強することができるのではないかと思います。

成澤
合格者のみなさんにそういっていただけると、教員としても自信が深まります。ほかに、信大ローのよいところがあったら挙げてください。


やはり、長野県弁護士会との協力関係が密接なところです。長野県で実務についておられる先生と人的に密接な関係を作ることができるというのは、非常に大きなメリットだと思います。司法試験を経験された実務の先生からは、試験の体験談も含めて、いろいろアドヴァイスをいただきました。

今井
私も李さんと同様に、弁護士会の若手の先生が主催するゼミに参加していました。信大ローでは、講義だけではなく、ロークリニックやゼミを通じて、弁護士の先生方に触れ合う機会がとても多く、身近に目標とする方がいらっしゃることで勉強のモチベーションにもなりました。

田村
昨年の合格者の方々は、地元に就職された1名の先輩を除いて、長野県で就職が決まっています。私も長野県で仕事をしていくことを希望していますので、先輩方に続いて、信大ローを修了し長野県で仕事をしていくという道筋を作ることができればいいなと考えています。

成澤
そもそも、信大ローは、県の弁護士会と信州大学が一体となって設立の運動をしたという経緯があります。全国的にも、これだけ弁護士会の熱心なサポートがあるロースクールは珍しいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

森山
私は信州大学の出身でしたので、ロースクールも信大を選択しました。信大ローのよいところは、「高度技術法曹枠」といって、理系の人を積極的に受け入れていることです。私はその枠での入学生でした。

成澤
今年の合格者でいえば、北澤君も理系です。ちなみに、昨年の合格者には、人文学部出身者が1名、商学部出身者が1名いらっしゃいます。純粋未習者の合格者が多いことも、信大ローの特徴ですね。

北澤
あと、少人数教育だということは、最大のメリットではないでしょうか。今の定員は、18人という人数ですから、僕たちのころよりも恵まれていると思います。

成澤
確かに、ロースクールという制度自体、始まったばかりですので、教員も日々学ぶことの連続ですし、信大ローは、毎年成長を遂げていると思ってよろしいと思います。定員18人という思い切った数字も、信大ローが教育に力を入れている証拠だと思ってください。というわけで、「進化し続ける信大ロースクール」の今後の展望について、合格者のみなさんの声をお聞きしたいと思います。


次第に体制が整ってきたので、今後も、合格者は増えていくと思います。私も長野県で仕事をしていくつもりなので、信大ローにはこれからもお世話になると思います。

今井
最終的に新司法試験に受かるかどうかは各学生にかかっているとは思いますが、信大ローの教育体制、支援、施設を考えると、合格するだけの勉強をする環境は十分に整っていると思います。来年度以降も合格者が増えることを期待しています。

田村
合格者が増えていけば、支援体制もさらに充実していくことが予想されます。そういう意味で、信大ローは上り調子であると思います。僕も、独り立ちした暁には、積極的に支援していきたいと思っています。

成澤
みなさんにそういっていただけると、教員としてもモチベーションがあがります。私も、来年はさらに合格者がでると確信しています。それだけの努力を院生も教員もしていますから。どなたか合格者を代表して、信大ローの今年の受験生に一言メッセージをお願いします。

今井
新司法試験合格を目指すということは、リスクも小さくありません。ただ、それだけの価値はある選択だと思っています。信大ローには、学生が求めれば応えてくれる先生方が沢山いらっしゃいますので、頑張る覚悟のある方は、ぜひ受験してみて下さい。

成澤
ありがとうございました。最後に、どんな法律家を目指しているのか、一言ずつお願いします。

 
地域に根差した活動をし、特に、マイノリティの人権擁護活動に努めたいと考えています。

森山 
人権派弁護士を目指しています。

今井 
私は、困っている人や社会的弱者の力になれるような法律家になりたいです。

北澤 
僕は、「市民に身近な法曹」を目指します。

田村 
地域の法的サービスを支えるだけでなく、市民と向き合って話ができ、どんな相談ごとも聞ける法律家になりたいと考えています。

成澤
みなさんが法律家として社会で活躍していくことによって、ロースクールが社会的使命を果たすことになります。よき社会の実現のため、是非、その能力を発揮されることを期待しております。本日はありがとうございました。


(10月1日信州大学にて)

以   上