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 「信州ラーメン業界の成長ステージ」(2010.5.26)

著者
牧田幸裕 准教授

信州の麺文化といえば言うまでもなく蕎麦だ。しかし、2000年代後半から、信州ではラーメン業界が成長期に入っている。
2005年に始まった「信州ラーメン博」では、初年度から県外客を含め6万人を集客した。この「信州ラーメン博」は2009年まで5回連続継続されているが、出店数も毎回20店舗程度であり、活況を呈している。ながの東急では2006年からラーメンファンタジスタと題して、首都圏の有名店を招聘し、高いレベルの味を紹介している。

私は2006年夏に信州へ赴任後、この4年間で長野市47軒、松本市12軒、諏訪市1軒、塩尻市2軒、上田市2軒、佐久市1件、軽井沢3軒、安曇野2軒、合計70軒、延べ約400杯の信州ラーメンを食べてきた。
そこで、明らかになったことがある。それは、信州ラーメンは成長途上期であり、現在は「守」のステージにいるということだ。
400杯、信州でラーメンを食べ分かったことは、「信州ラーメン」と特徴付けて定義できるものがないということだ。札幌であれば味噌、仙台であれば辛味噌、京都であれば濃厚鶏がら醤油、博多であれば長浜豚骨など、それぞれ特徴がある。
しかし、信州で食べたラーメンの多くは、東京や横浜の先進事例の焼き直しである。

 ・ 高田馬場の名店「渡なべ」や、中野の名店「青葉」の焼き直しである濃厚魚介、豚骨のWスープタイプ
 ・ 大崎の名店「六厘舎」の焼き直しである超高濃度のつけ麺タイプ
 ・ 横浜家系の焼き直しである豚骨、鶏がら大量炊き出しタイプ
 ・ 三田の名店「二郎」の焼き直しである大ボリューム濃厚豚骨醤油タイプ

など、先進事例の焼き直し=インスパイア系が、信州で人気の高いラーメン店の特徴だ。
しかし、これは決して否定されるべきことではなく、極めて真っ当なプロセスだといえる。成長途上期には、先進事例に学ぶことが一番効率的な成長手段であり、これによりレベルを早期に上げることが出来るからである。
ビジネスでもそうだし、大学院での勉強でもそうだが、自分で一から作り上げて何らかの成果を出すというのは、一見「美しい理想」のモデルのように見える。しかし、実際にそんな手法を取れば、ビジネスでは競合企業の成長スピードに負ける。大学院の勉強であれば、非効率的な勉強になり、とても2年では修了できない。
だから、勝つビジネスは、まずは成功モデルを真似る。その後、オリジナリティを出す。優秀な学生は、まずは愚直にインプットする。その上で、自分の見解を作り上げる。
このように、信州ラーメン業界は真っ当な成長プロセスの中で「守」のステージにいる。これからそれをどう「破」り、「離」れ、信州ラーメンの特徴を作り上げていくのか、とても楽しみだ。


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