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お知らせ

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千葉 耀太さん(M1)・永田 睦也さん(M1)・東谷 祐樹さん(M2)・矢満田 友菜さん(M2)が繊維学会優秀ポスター発表賞を受賞

2021.07.02

6月9日(水)~11日(金)にオンラインにて行われた2021年繊維学会年次大会において、大学院総合理工学研究科 繊維学専攻修士課程1年の千葉 耀太さん (高坂 泰弘 研究室)、永田 睦也さん(大越 豊 研究室)、同2年の東谷 祐樹さん(後藤 康夫 研究室)、矢満田 友菜さん(寺本 彰 研究室)が繊維学会優秀ポスター発表賞を受賞しました。この賞は年次大会において優秀なポスター発表を行った者(年次大会開催年4月1日現在で博士号を持たない36歳未満の正会員および学生会員)に授与されます。101件の発表のうち10件が受賞しました。
受賞者一覧はこちらからご覧いただけます https://www.fiber.or.jp/jpn/awards/prizePoster.html


【千葉 耀太さん】
受賞題目: スチレンとビニルエステルが融合した環状ビニルモノマーのラジカル重合


発表概要: ビニルポリマーは大量生産可能なプラスチックである反面、化石資源を原料とするため、持続可能性の確保が課題になっています。本研究では、簡単な化学処理により原料を再生するビニルポリマーを発見しました。当初、スチレンとビニルエステルの構造を併せ持つ環状モノマー、3-メチレンフタリドの重合を調査していました。この際、得られるポリマーを水酸化ナトリウムでけん化すると、モノマー前駆体を再生することを見出しました。本技術では分子レベルでのリサイクルが成立するため、品質劣化のない高品質なプラスチックを再生できます。

千葉さんのコメント: この度、繊維学会年次大会において若手優秀ポスター賞を賜る運びとなりました。栄誉ある賞をいただき、大変うれしく思います。 今回の発表では「ビニルポリマーのケミカルリサイクル」に焦点を当てました。近年、化学繊維をはじめとした合成高分子は様々な環境問題の原因とされています。特に、ビニルポリマーはケミカルリサイクルが困難であり、資源循環や環境負荷の観点で課題があるとされてきました。偶然見つかった今回の発見を足掛かりに、化学繊維と自然環境が共存できる社会を実現できるように今後も研究に励んでいきます。

※本研究に関するお問い合わせは高坂 泰弘 准教授
(kohsaka@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します


【永田 睦也さん】

受賞題目: Poly(ethylene terephthalate)繊維延伸時の構造形成および物性におよぼす分子量の効果

発表概要: Poly(ethylene terephthalate)(PET)繊維の連続延伸中におけるWAXD/SAXS像の変化から、中間相、結晶および長周期構造の形成過程を評価し、原料の固有粘度と繊維構造形成および強度や熱収縮率等の繊維物性との関係について考察しました。この結果、低分子量ほどsmectic相の形成量が少なく結晶化の開始は早くなり、長周期は短くなることがわかりました。この結果はsmectic相の形成と結晶化が同時進行しsmectic相を経ずに形成される結晶が多くなることを意味します。smectic相を経て形成された結晶の減少は繊維強度の低下を、smectic相を経ないで形成された結晶の増加は熱収縮率の低下を説明できます。

永田さんのコメント: この度は、繊維学会年次大会優秀発表ポスター賞をいただき、大変光栄に感じます。大越豊先生をはじめ、共同研究者および大学の皆様に深く感謝いたします。私はポリエステルの分子量が繊維構造形成、さらには繊維強度に及ぼす影響を調査しています。強度が決定づけられる構造を理解することで、高強度化とともに、高分解能性の実現もできるようになります。この研究が繊維の高機能化に加え、近年叫ばれるSDGs、特にマイクロプラスチック汚染の解決にも繋がると考えています。

※本研究に関するお問い合わせは大越 豊 教授
(yokoshi@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します


【東谷 祐樹さん】
受賞題目: 溶液ブロー紡糸で作製したセルロース繊維の構造・物性

発表概要: 最も豊富なバイオマスであるセルロースをイオン液体に溶解させ、溶液ブロー紡糸により極細セルロース繊維を作製し、同タイプの紡糸では検討が進んでいない繊維の構造・物性評価を試みました。本研究の要点は、高速熱風で吹き飛ばされる極細繊維を一方向に揃えて連続的に巻き取る手法を確立し、評価可能な一軸配向バンドル試料を得たことであります。得られた繊維は、分子鎖が高配向し、従来の合成ポリマー系メルトブロー不織布繊維と比べて、格段に高強度であることを明らかにしました。

東谷さんのコメント: この度は優秀ポスター発表賞という栄誉ある賞を頂戴し、とても光栄に思います。この栄誉は私個人の力ではなく、ご指導頂いている先生、私を支えてくれた研究室の皆さま、この研究に関わる全ての方々のお陰であると実感しております。本研究では、直径数ミクロンの再生セルロース極細繊維を一方向に揃えて巻き取る手法を確立し、構造・物性の評価を行いました。再生セルロース繊維の研究は脱炭素社会の一翼を担うとされており、私もその一助になれるよう今後も邁進する所存です。

※本研究に関するお問い合わせは後藤 康夫 教授
(ygotohy@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します


【矢満田 友菜さん】
受賞題目: バクテリアセルロース/DMAEMA 複合ゲルの作製と評価

発表概要: 酢酸菌が分泌するセルロースナノファイバーであるバクテリアセルロース(BC)は、ゲル状膜(ペリクル)として生成されます。このBCペリクルは乾燥や圧縮により水分を放出すると再膨潤させることが困難であります。本研究では、BCペリクル内で解離基を有するメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルを重合し複合化することにより機能性の改善を試みました。複合化ペリクルは保水性が改善されるとともにpHに応答した膨潤挙動をとることが示されました。

矢満田さんのコメント: この度は、繊維学会年次大会において優秀ポスター発表賞をいただき、心より光栄に思います。 生体内の温度やpHは病気にかかると変化することが多いため、近年pH応答性ゲルや温度応答性ゲルを用いたバイオマテリアルの研究開発が数多く報告されています。私はpH応答性をもつ物質と、一般的にはナタデココとして知られるセルロースゲルを組み合わせた複合材料を作製し、薬物キャリアへの応用を目的として種々の評価を行いました。今後は、疾患の薬物治療や組織工学への応用を目指し、より多くの薬物放出試験に取り組んでいきたいと考えます。

※本研究に関するお問い合わせは寺本 彰 准教授
(ateramo@shinshu-u.ac.jp)までお願い致します

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