教員・研究紹介

教員・研究紹介 Staff & Research

自然を見つめ、生物を活かす!

生物資源・環境科学課程では「自然を見つめ、生物を活かす!」をキャッチフレーズにして教育・研究を行っています。遺伝子から生態系まで、幅広い知識と経験を持つ教員が、日々教育・研究に励んでいます。*以下の図をクリックすると大画面で図を見る事ができます。

海老沼 宏安 教授

  エネルギーの安全保障と地球温暖化の防止のため、カーボンニュートラルなバイオマスの総合利用が推進されています。石油、石炭は、大昔の植物バイオマスから変化したもので、燃料、繊維、化成品の原料となっています。これらの製品は、バイオマスからも作ることができ、バイオ燃料、バイオファイバー、グリーンケミカルと呼ばれています。これがバイオリファイナリーです。再生可能なバイオマスの育成から利活用まで、世界中で技術開発が進められています。独自の植物ゲノム工学技術を用いたエネルギー作物の改良により、環境保全とバイオマス生産の両立を目指したバイオリファイナリー技術の研究開発に取り組んでいきます。
130711ベクター堀江編集-1.jpg130711ベクター堀江編集-2.jpg

梶浦 善太 教授

かじうら.bmp蚕・野蚕の脱皮・変態、卵形成、遺伝資源、育種について研究しています。蚕・野蚕のDNAから個体までを対象にして、実験室でのDNAレベルの研究から野外生息地での調査を行っています。生物遺伝資源として蚕・野蚕の変種の探索・保存を行っています。環境として野蚕の生息地域の里山にかかわっています。生産者と連携して(農商工・産学連携)実用的な蚕・野蚕の商業用品種の育種や、種々の先進的蚕糸・野蚕糸科学技術を開発しています。

玉田 靖 教授

  シルクは、繊維の女王として6000年以上前から利用されている優れた衣料用材料です。また、カイコという生物が生産する環境に優しい生物資源材料でもあります。シルクの衣料分野を超えた新しい利用技術の開発を中心に研究を進めています。絹糸は外科手術で傷を縫うときの糸として古くから現在も臨床で使用されています。また、最近の研究では、シルクから作った材料が、再生医療で細胞の足場として、良い性質を示すことが多く報告されています。研究室では、シルクの医療分野への活用を目標に、シルクの構造や性質を新たな観点で解析し、さらに、化学修飾、タンパク質工学、遺伝子組換え技術による機能性シルクの創出を目指しています。
研究紹介_玉田-1.jpg研究紹介_玉田-2.jpg

林田 信明 教授

  植物の形がどうやって決まっているのかは、まだ良くわかっていません。作物の形を自由に作り変えることができれば、農業の大革命になります。ところでハクサイやミズナやカブなどは、まるで形が違いますが実は同じ生き物です。同じ生き物なのになぜこれほど形が違うのかを調べることで、植物の形がどのように作られているのかを研究しています(図1)。
  植物も病気にかかります。原因はウィルスや病原菌などさまざまで、この点でも人間と一緒です。農作物の場合には、同じ仲間が一カ所にたくさん育っているので、インフルエンザのように急激に病気が広まってしまう事があります。農薬を使わないで農作物を病気から守る究極の方法は、病気にかからない品種を作る事です。そのために必要となる、病気に強い植物の遺伝子の研究を行っています(図2)。
HP用(林田)_堀江編集-1.jpgHP用(林田)_堀江編集-2.jpg

平林 公男 教授

  このすばらしい信州の自然環境を、私たちの次の世代の人たちにより良い形で「どのように残していったらよいのか」、「そのためには今、何をするべきなのか」を常に考えています。「自然との共存」は大変なことです。自然のこと、生き物のことを良く知ることにより、その方策を見つけていくことが大切ではないでしょうか。
  私は生命にとってとても大切な「水」環境に大変興味をもっています。水環境の変化をいち早く教えてくれる指標となる生き物、「指標生物」を用いて、環境からのシグナルを見落とさないように心がけています。現在、取り扱っている「指標生物」としては水生昆虫類が主なものです。トビケラ類、ガガンボ類、ユスリカ類など、大変興味深い生態をもっている生物群集が多いからです。
課程HP用教員研究紹介_前回ファイル堀江改訂.jpg環境指標生物としての水生生物(平林).jpg

森脇 洋 教授

  世界各地で環境汚染物質による環境問題が重要視されてきています。環境中の化学物質の分析・毒性調査・除去や分解方法の開発を研究テーマとして、幅広い研究を展開してます。ガッツを持って研究を楽しみ、その結果が良い環境を創成することにつながってほしいという想いで研究に取り組んでいます。
研究室紹介(森脇)-1.jpg研究室紹介(森脇)-2.jpg

塩見 邦博 准教授

  分子生物学・神経内分泌的技術などを駆使し、昆虫はどのようにして環境の温度や日長を感じているか?昆虫はどのようにして季節によって姿・形を変えているか?を明らかにしようとしています。これらの研究を通して、生物センサーの開発や環境応答に関連する遺伝子の発見を目指しています。
課程 HP 研究紹介_2013_塩見-1.jpg課程 HP 研究紹介_2013_塩見-2.jpg

白井 孝治 准教授

  重イオンビームなど先端放射線照射技術の進展はこれまで分からなかった低線量照射時の細胞応答を明らかにしつつあります。例えば、バイスタンダー効果と呼ばれる、直接照射されていない細胞にまで放射線の影響がおよぶ例が報告されています。私たちの研究室では日本原子力応用研究機構高崎量子ビーム応用研究所と共同で昆虫細胞におけるバイスタンダー効果などに関する研究を進めています。
ホームページ素材(白井)-1.jpgホームページ素材(白井)-2.jpg

堀江 智明 准教

  ナトリウム(Na+)を中心とした土壌の塩類集積は、植物の生長・生産性を著しく妨げます(塩害)。当研究室では、植物がNa+の過剰蓄積から身を守るために不可欠な役割を担う、HKTと呼ばれるNa+輸送体の生理機能の全容解明を目指しています。イネ、シロイヌナズナ、ゼニゴケといった生物材料を駆使し、植物の耐塩性機構の詳細を解明し、耐塩性穀類の分子育種技術を開発する事を究極の目標にしています。
堀江研究紹介-1.jpg堀江研究紹介-2.jpg

山本 博規 准教授

  枯草菌が持つ潜在能力を最大限に活用するために、細胞表層を修飾するテイコ酸ポリマーが担っている機能の解明や、タンパク質の分泌・局在機構に関する研究を進めています。将来的には、類縁細菌が持つ遺伝子資源の有効利用や、病原性細菌の効率的な防除システムの構築、希少資源の循環利用等に応用可能な技術の開発を目指しています。
ホームページ用(山本研)-1.jpgホームページ用(山本研)-2.jpg

新井 亮一 助教

  あらゆる生物に必要不可欠な生体分子であるタンパク質を主な研究対象として、「タンパク質を見る、調べる、創る、応用する研究」を精力的に展開しています。主にX線結晶構造解析法によりタンパク質の立体構造を原子レベルで明らかにするとともに、生化学、分子生物学、遺伝子工学的手法を駆使して、タンパク質の構造と機能の詳細を解明することを目指しています。また、タンパク質を創る、応用する研究として「タンパク質工学」研究を行っています。タンパク質を有用な生物資源ととらえ、基礎研究だけでなく、将来的に応用面でも社会に役立てていくことを目指して、タンパク質を変異・改良する研究や、人工タンパク質をデザイン・創出する研究に取り組んでいます。
課程HPスライド新井研-1.jpg課程HPスライド新井研-2.jpg

繊維学部附属農場
P1010024.JPGSW-02.jpgCIMG0175.JPG
繊維学部附属農場は、繊維関連動植物の保存・栽培・育成や、フィールドサイエンスに関わる分野の研究実習・教育を行っています。附属農場は、応用生物学系内のみならず、他系や他施設と連携を保ちながら、繊維学部の教育・研究を支援しています。当課程の特徴の一つとして、附属農場に属する教員、及び技術職員が、当課程の教育研究により密接に関与し、ミクロな実験科学の世界と実際の自然環境下における現象を紡ぐフィールドサイエンスの教育を実践しています(http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/farm/)。