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東城 幸治

東城 幸治

生物学コース

講座:系統進化学分野
職名:准教授
略歴:
1999年 筑波大学大学院博士課程生物科学研究科修了
1999年-2002年 筑波大学生物科学系・準研究員
1902年 科学技術振興事業団・科学技術特別研究員
2002年 日本学術振興会・科学技術特別研究員
2004年 信州大学理学部・助手(助教)
2012年 信州大学理学部・准教授
キーワード:多様化
ホームページ:http://science.shinshu-u.ac.jp/~bios/tojo_labo/index.html
SOARリンク:SOARを見る

生物の系統・進化に基づく、体づくりの歴史的変遷を解明する

節足動物の系統・進化とボディプランの変遷

地球上には実に様々な生きものたちが棲んでおり、その生きざまも実に多様です。このような生物の多様さが進化の過程でどのように生じてきたのかにとても興味があります。学名が与えられている全記載生物種の半数以上を占め、生物界の中でも最も種多様性の高い一群である節足動物を対象に(とくに、その中でも最も種多様性の高い昆虫類を中心に)、系統・進化や、体づくり(発生)の基本プランと多様化プロセスを追究しています。

また、昆虫類が所属する節足動物を対象に、その多様な繁殖システムに関する研究や、生物地理学的な観点からの研究など、進化・発生・生態学的研究も展開しています。

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1.節足動物の系統進化とボディプランの変遷

1. 節足動物の系統進化とボディプランの変遷
現在、昆虫類(カゲロウ類・トンボ類といった原始的昆虫類をはじめ、タガメ・コオイムシなど)、甲殻類(ヨコエビ類)、鋏角類(サソリ類)を対象に、系統・進化学的文脈のもと、ボディプラン(体制、体づくりの基本プラン)の進化的変遷を比較発生学(発生形態・発生遺伝学)的にアプローチしています。

とくに、カゲロウ類・トンボ類といった原始的有翅昆虫類における研究では、昆虫類多様化の鍵を握る最大の要因と考えられている「翅の起源」を究明したいと考えています。

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2.昆虫類の繁殖システムの進化学的研究

2. 昆虫類の繁殖システムの進化学的研究
種内で、オス-メス間の交配を伴う両性生殖個体群と交配を放棄する方向へ二次的に分化した単為生殖(特に、メスがメスだけを産出するタイプの雌産生型単為生殖)を行う雌性個体群とがモザイク状に混在分布する、とてもユニークな繁殖生態をもつオオシロカゲロウを対象に、この単為生殖のシステムやその起源を追究しています。核型解析や減数分裂時の核の挙動などの単為発生機構の究明や遺伝的多型を個体群レベルで比較するなどのアプローチを行っています。

また、卵胎生・胎生といった特異な繁殖システムを進化させた節足動物に関する、生態・発生・系統進化学的研究も手がけています。

3. 昆虫類の生物系統・地理学的研究
日本列島の形成史に深く影響を受けたと考えられているいくつかの昆虫類(とくに移動分散力の弱い昆虫類)数種を対象に、その分布や遺伝的類縁関係の比較により、種分化や系統進化に関する研究をしています。北アルプス(上高地を中心とした焼岳-槍・穂高連峰)をフィールドに、山岳形成史に深く関わる、この地域に棲む昆虫類の遺伝的・歴史的繋がりについても、分子系統学的にアプローチしています。

4. 研究室での学生の具体的研究テーマ
オビカゲロウの進化史 -昆虫翅の起源-/地理的単為生殖するオオシロカゲロウの進化生物学/ミナミカワトンボ類の比較発生・系統進化/トワダカワゲラの系統進化/カカトアルキ類の系統進化・比較発生/コオイムシ類・タガメ類の進化・生態・発生/カブラハバチ付属肢形成に関する発生遺伝学/ヤエヤマサソリの付属肢由来器官の比較発生学/フロリダマミズヨコエビの比較発生学/在来ヨコエビ-外来ヨコエビの個体群動態

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私の高校・大学時代

1. 私の高校・大学時代
幼少の頃から野球をつづけていましたが、高校3 年間は野球で負ってしまった大怪我との戦いであっという間に過ぎてしまいました。大学では心機一転、ボートという競技に打ち込み、授業そっちのけで朝から晩まで練習に励んでいました。最後のインカレを終えた後は、高1 の時の鮮烈な記憶(下述)を辿るかのように、卒業研究として昆虫の系統や進化に関する研究に没頭しました。そのまま大学院へ進学し、以降、研究をつづけています。

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2. なぜ生物学の道に進んだか
高1 の時、学校近くの河川で観たオオシロカゲロウの一斉かつ大量羽化の様子が、あまりにも衝撃的であり、その後の私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。毎年、初秋のごく限られた数日の夕方のわずか1-2 時間だけにみられる一斉羽化現象で、羽化したカゲロウ成虫が、まるで吹雪のように河川上空を舞飛し(写真)、橋上の路上には着雪するように白い遺骸が降り積もります。

初めて遭遇した高1 当時の記憶は、今なお鮮烈に残っています。そして現在も、この昆虫の生態や進化に関しては、重要な研究課題の一つとなっています。