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信州大学 理学部 ようこそ、探求の世界へ。理学部クエスト
原山 智

原山 智

地球学コース

講座:地球物質科学分野
職名:教授
略歴:
1953年 長野県岡谷市生まれ
東京教育大学理学部卒業
京都大学大学院博士課程修了
理学博士(名古屋大学)
キーワード:火成岩
ホームページ:http://science.shinshu-u.ac.jp/~geol/harayama/index.html
SOARリンク:SOARを見る

山はどうしてできるの? 不動山如(動かざること山のごとし)はウソ!?

現在の研究テーマ

■どうして山が好きになったの?
小学生の頃の遊び場は諏訪湖と背後の山でした。学校から帰ると釣りやキノコや山菜採りに出かけたものです。湖の向こうには霧ケ峰高原の山並みが,その先には北八ヶ岳の山頂が見えていました。あの山の向こうにはどんな世界が広がっているのだろう?初めて八ヶ岳に登ったのは中学生の集団登山です。汗をかいて登った山頂での爽快感がとても新鮮でした。その後,山登りは未知の世界をのぞく手段であると同時に,目的にもなっていったのです。

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前穂高明神岳の12mハングの下で(2008.4.27)



■石を調べているのはなぜ?
でも登山家になりたいとは思いませんでした。未知のルートや困難なルートの開拓はすごい挑戦ではあっても,山を知り,親しむこととはチョッと違うなと思っていたのです。小学生3年生の時の河原の石調べがきっかけで,石や鉱物に興味を持っていたので,自然と山の中を歩きながら岩石を調べる方向に進んでいったのです。

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蝶ヶ岳から望む残雪の槍ヶ岳



■でも石は無味乾燥なイメージが・・
そうですよね。夏休みの宿題だって花や蝶やクワガタなどが主役です。石は動かないし,反応はなさそうだし。でもね,石には物としての面と記録媒体としての面があるのです。 大学生には,「石が持ってる情報には物と事の両面があるよ」と話しています。僕は,どちらかというと壮大な地球の歴史を記録している媒体としての方に興味がありますね。何億年,何百万年の歴史が刻まれていると思うと,ワクワクしませんか。

■山にも生い立ちがあるの?
そうなんです。戦国時代,武田軍団のノボリには不動山如(うごかざること山のごとし)と書かれていたそうです。どっしりとした不動の象徴が山というイメージですよね。でも地球の長〜い歴史,46億年の間には山ができては消滅することが繰り返されてきました。日本を代表する飛騨山脈も230万年前に成長(隆起)を始め,130万から80万年前にかけての時期には強い圧縮力のために地表から10kmくらいまでの地面がめくれ上がってしまう,激しい地殻変動が生じました。この期間にほぼ現在の山脈としての原型が完成したのです。

■上高地にあった花崗岩の世界記録
皆さんは花崗岩という岩石知っていますか?そう墓石にもよく使われる御影石(みかげいし)ですね。この花崗岩,地下3kmより深い場所で,700℃前後のマグマが数十万年の時間をかけてゆっくりと冷えて固まった石です。マグマから大きな結晶が成長して,肉眼でも鉱物の粒が観察できます。

1991年のことです。上高地の有名な観光スポット,ウェストン碑の埋め込まれている岩盤が,世界一若い花崗岩(滝谷岩体)であることを発見しました。それまでの世界記録は,オマラ岩体(パプアニューギニア)で210万年前。滝谷花崗岩は142万年前に地下3kmまで上昇したマグマからできたのです。

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日本アルプスの父,ウェストンの碑は世界一若い滝谷花崗岩の岩盤に設置されている。



若いといっても,140万年!何でそんなに古いのかと思いますよね。でも地盤の隆起は速くても年間数mmですから,3000m上昇した分が浸食作用で全て削り取られたとしても,100万年ほどかかる計算になります。地下の花崗岩が地表に露出するまで少なくとも最低数百万年はかかるというのが常識でしたから,僕自身も年代測定値をしばらく疑っていました。

しかし若いことを示す証拠が続々と出てきました。中には花崗岩が500℃位の熱いうちに,先に説明した地殻変動を受けて変形した証拠もあります。そう,この世界一若い花崗岩は北アルプスが激しい隆起運動を起こした重要な証拠になったのです。

■宣伝コーナー:私の書いた本です! 2003年に,山と渓谷社から超火山「槍・穂高」という本を出版しました。高校時代からの親友,山本 明さんとの共著です。この本では北アルプス,約1500日の調査結果をもとに,最新の成果を易しく,楽しく解説しています。ちなみに地質探偵ハラヤマは僕のことです。

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超火山[槍・穂高]原山智・山本明著(山と渓谷社)



■フィールドサイエンティスト(野外系研究者)になりませんか?
野外系研究者の需要は大きいのに,日本では養成機関が減少しています。自然環境に恵まれた信州大学は,野外実習を最も重視し,野外系研究者養成の国際的拠点校を目指しています。自然が好きで,体を動かすのが好きな人。私とともに山を駆け巡りませんか。