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物理科学科
光物性研究室
研究概要
光物性研究室では,近年まで未開拓領域として取り残されていた唯一の電磁波領域である,"テラヘルツ領域"の電磁波における分光装置を開発し,その装置を用いて様々な物質の光学応答特性を研究しています。
さらに,人工的な微細構造を作製することにより,光・電磁波の自由なコントロール技術の確立を目指しています。
研究テーマ詳細
(1) テラヘルツ時間領域パルス分光システムの研究開発
半導体表面に強い光パルスを照射すると電磁波パルスが放射される。光パルスの幅がフェムト秒程度(10^-15秒)に達すると電磁波の振動数はテラヘル(THz、10^12Hz)領域となる。本研究ではこの放射されたTHzパルス電磁波を光源とした新しい分光システムの開発を行っている。この分光計の特徴は測定電磁波の電界強度と位相スペクトルも同時に得られる点にある。したがって、サンプルの屈折率の実部と虚部が同時に独立して決定できる。より帯域の広い分光システムの開発を行う。さらにこのTHz-TDSを用いて強誘電体結晶中の格子振動と電磁波の結合したフォノン・ポラリトンやフォトニックバンド構造やアモルファス中のボゾンピークなどを研究している。
(絵:テラヘルツ時間領域分光システム)
(2) フォトニック結晶及びフォトニックフラクタルによるテラヘルツ電磁波の制御
電子が金属や半導体中でバンド構造をとるのと同様に電磁波である光もその誘電率が周期的に変化する媒質においてバンド構造をとることが理論的に予測されている。フォトニック結晶については、遠赤外から可光領域にわたって理論実験とも活発に研究されてきた。本研究室ではTHz領域でフォトニックバンド構造を持つフォトニック結晶を設計試作し、さらに、不純物をドープして光のアンダーソン局在の検証を行う。極最近、自己相似性構造体であるフラクタル中に電磁波が局在することを見出した。フォトニックフラクトンの研究も行っている。(写真:メンジャースポンジ構造のフォトニックフラクタル)
(3) 金属人口構造物及びメタマテリアルによるテラヘルツ電磁波の制御
開口アレイをはじめ,金属を材料とした人工構造物における新規現象の発見とその機構解明を行っている.金属開口アレイにおいて,開口率の数倍の透過率が現れる共鳴透過現象が観測されている.この共鳴透過現象は,表面プラズモンが金属表面に励起されるために起こると考えられているが,世界中で未だに議論の最中である.本研究ではテラヘルツ領域において,その機構の解明を行っている.また,光の波長程度の新しい人工構造物を作成し,今までにない全く新しい光学特性の発見に取り組んでいる.
(4) テラヘルツ表面プラズモンセンサの開発
金属開口アレイの共鳴透過特性を活かして,高感度なテラヘルツセンサの開発を行っている。金属開口アレイ表面には,非常に強い電場の局在が見られるため,観測対象を金属表面に近づけることにより,観測対象の微妙な構造変化に伴う屈折率の変化を高感度に検出することができる。例えば,下図に示すように,紙の上の非常に薄いインクの検出を行うことに成功している。
(5) 強誘電体ならびに溶液のテラヘルツ誘電応答
構造相転移では集団励起状態である格子振動または緩和型モードが重要な役割を演じている。格子振動がどのようになるかは相転移の機構を解明するうえで極めて重要な問題である。ここでは、赤外活性な極性ソフトフォノンが関与する強誘電相転移に着目し、遠赤外フーリエ分光により強誘電体単結晶の格子振動を観測し、そのソフトフォノンの振る舞いから相転移機構を解明する。