宇宙線物理学分野

宇宙線物理学分野

当研究室では,宇宙線の観測を通して太陽地球間,太陽圏スケールの空間における物理を研究しています。
宇宙線は宇宙空間に存在する高エネルギーの荷電粒子(主に陽子)で,地球へは銀河磁場の影響によってほぼ等方的に飛来するのですが,その到来方向にはほんの僅かに異方性(等方的でないこと)が観測されます。
このような異方性を長期間にわたって観測することで太陽圏スケールの磁場構造やその変動を調べることができます。

近年では宇宙天気予報の可能性を探る研究も行われており,当研究室でも世界4カ国に宇宙線望遠鏡を展開して全天をモニタしています。
また本研究室では、地上および宇宙望遠鏡を用いた遠方天体(銀河、銀河間空間、クェーサー)の分光学的研究も行っている。
関心を持った方は研究室のページを訪れてみてください。

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宗像 一起
宗像 一起 Link 教授
「宇宙線の風」を追って 我々の夢のひとつは,『「宇宙線の風」を使って宇宙天気を予報できないか?』ということです
加藤 千尋
加藤 千尋 Link 准教授
宇宙線で予報する宇宙の天気 現在、こうした大規模な磁気嵐を引き起こす衝撃波の到来を予報する試み(宇宙天気予報)が行われています。
三澤 透
三澤 透 Link 准教授

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星と星(あるいは銀河と銀河)のあいだの空間には何があるでしょうか?

1.エーテルがある
2.希薄なガスがある
3.何もない(完全な真空状態)
2. 希薄なガスがある

このような空間(星間空間、銀河間空間)には、それぞれ平均で1個/cm3、0.00001個/cm3程度のガス密度をもつ星間物質、銀河間物質が存在します。地球上の大気密度(1019個/cm3)と比べると、ほとんど真空といってもよいレベルですが全く何も無いわけではありません。星間・銀河間物質は星や銀河のように自ら明るく輝くことがないため、可視光で直接観測することは困難です。そこで背後にある明るい天体(星やクェーサーなど)を観測することにより、「影絵」のような原理を使って調べられています。この方法を使うと宇宙規模の物質変遷史(たとえば皆さんの体を構成している様々な元素の量が増えていく様子)などをたどることができます。

ちなみにエーテルは光が伝播するために必要な仮想的な媒質であり、かつては宇宙を満たしていると考えられていましたが、相対性理論の確立によって現在では不要であると考えられています。

影絵を使った天体観測に興味を持った方は、ぜひ「宇宙線実験室・観測天文学グループ*」のページも訪ねてみてください。

* http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/general/chair/astro/

宇宙線とはなに?

1. 宇宙に存在する光線
2. 高エネルギー荷電粒子
3. 太陽の磁力線
2. 高エネルギー荷電粒子

宇宙空間にはさまざまな放射線が存在しています。その中で、高エネルギーの荷電粒子のことを宇宙線と呼びます。
銀河系内で超新星爆発の際に撒き散らされた荷電粒子が、衝撃波等で加速されて高いエネルギーをもったとされています。このような宇宙線は銀河宇宙線と呼ばれ、生成されてから銀河系内を旅して地球近くに達するまでに1千万年ほどかかっていると言われます。
地球の近くでは、太陽表面での爆発現象(太陽フレアなど)によって、高エネルギー荷電粒子が放出される例があります。このような宇宙線を太陽宇宙線またはSEP(Solar Energetic Particle)と呼びます。"身近"なサンプルとして、宇宙線の加速機構の解明の研究対象とされています。
宇宙線は地球大気と相互作用を起こし、さまざまな素粒子を生成します。当グループでは、その中のμ粒子を観測しています。

宇宙線の最高エネルギーはどのくらい?

1. ~10^15 eV
2. ~10^18 eV
3. ~10^19 eV
3. ~10^19 eV (検証中)

~6 x 10^19 eV以上のエネルギーをもつ宇宙線は宇宙背景放射と相互作用をしてエネルギーを失うので、この辺りが最高エネルギーになると予想されています(GZKカットオフ)。このエネルギーの陽子は黒体放射の光子と相互作用をしてパイオンを生成します。
温度2.7Kの黒体放射による光子のエネルギーについて、パイオン生成の閾値が6x10^19 eVであるためです。しかし、ある実験では~10^20 eVの粒子を観測したとしており、検証のために更なる観測実験が行われています。
ちなみに、10^15 eV、10^18 eVはそれぞれKnee(ひざ)、Ankle(くるぶし)と呼ばれ、エネルギースペクトルの勾配が変化するエネルギーです。
Kneeは銀河系内で生成された宇宙線が系外へ漏れ出すことによるもの、一方のAnkleは、銀河系外の宇宙線によるものであるとの説があります。