物性理論分野

物性理論分野

私たちの身の回りにある物は多数の原子が集まってできています。原子1つを見てもその中には陽子や電子,中性子といったものがたくさん集まってできていますが、そこまで(それよりもっと)細かく考えるのが素粒子物理学であるのに対して、物性物理学では、多数の原子の集まりとして作られ、私たちが(だいたい)直接その多様性を実感できるような物の性質について研究を行っています。

「力学」,「電磁気学」,「熱力学」に加えて、多数の原子の集合体を考えるときに、原子同士のつながりを支える電子の振る舞いを扱う「量子力学」や、原子や電子が非常に多数集まったときに見られる集団的な現象を扱う「統計力学」、たまに「相対論」、といった近代物理学に立脚して、物の定性的な性質を理解することを目指しています。

詳しくは物性理論研究室HPをご覧下さい。

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樋口 雅彦

樋口 雅彦 Link

教授
物質の神秘を解き明かす 物性物理学の醍醐味は,アンダーソン博士(1977年ノーベル物理学賞)の言葉「More is different」に集約されると思います
志水 久
志水 久 Link 准教授
相転移の解明に向けて エントロピーが物質を構成する原子や電子の力学的な状態から導かれるということは,物質の力学的構造から物質の相や相転移について何らかの情報を引き出すことが出きるかもしれません。

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青色発光ダイオードの材料に含まれるガリウム原子の最も内側を周回している電子の速さは、光速に対してどのくらい?

1. 光速の0.23%の速さ
2. 光速の2.3%の速さ
3. 光速の23%の速さ
3. 光速の23%の速さ

われわれの身の回りにある物質は原子によりできています。原子は、さらに細かく見れば、原子核とそのまわりを周回する電子によりできています。ガ リウム原子の場合、それら電子の中で最も内側を周回している電子の速さが、光速のなんと23パーセントにも達しているのです。その他にも例えば、 携帯電話やハイブリッドカーなどにも利用されているネオジム磁石(非常に強力な永久磁石)に含まれるネオジム原子の最も内側をまわる電子は、光速 の44パーセントの速さで周回しています。ものが光速に近い速さで動くとき、アインシュタインの特殊相対性理論の効果が顕著に現れます。特殊相対性理論の効果は、われわれの回りの身近な物質の性質にもはっきりと現れているのです。

人間が原子の存在を認識する手段は?

1. 直接目で見たり、触って認識する
2. 原子によって引き起こされる現象によって認識する
3. 認識する方法はなくて、実は存在すると思っているだけ
2. 原子によって引き起こされる現象によって認識する

「物を細かく分割していくと最後にどうなるのか?」という疑問に対して、"それ以上分割不可能な存在"という概念として「原子」という言葉が考えられました。原子は極めて小さく、これまで人間が原子を直接目で見たり触ったりしてその存在を認識できたという報告はありません。人類が原子は確かに存在すると考えるようになったのは20世紀になってからです。19世紀初頭にロバート・ブラウンは、水に浸した花粉から出てきた微粒子が不規則な運動(この運動はブラウン運動と呼ばれています)をするという実験報告を発表しました。始めは微粒子が生命体であるとして解釈されていたようですが、19世紀後半に同じ現象が無機物質の微粒子でも観測されたことで、微粒子が生命体であるという考えは否定されました。ブラウン運動を「微粒子を取り囲む液体分子の不規則な衝突の結果」と考えることで説明したのがアインシュタインです。原子や分子は極めて小さく、人間が直接認識することはできませんが、大きさが人間と原子の間にある微粒子を利用することで、間接的に原子の存在を認識することができます。アインシュタインが1905年に発表した論文には微粒子の運動に関する関係式が導かれていますが、その関係式が実験結果と一致することがペランによって確かめられたことで、ブラウン運動は原子が存在する証拠とされるようになりました。

原子の存在を認識した人類は、物は原子が集まって構成されると考えるようになり、物が示す様々な物理的な性質は、"物を構成する原子の性質を記述する物理法則"や"多数の原子が集まることで現れる性質を記述する物理法則"などの様々な物理法則によって理解できると考えられています。