数理科学への誘い

信州大学の先生たちから数学の魅力または、
数理科学への道にすすむきっかけをお聞きしました。

乙部 厳己

印象に残っている定理や理論などを教えてください

ボレルの正規数定理
実数を10進数の無限小数として表示すると、ほとんどの数は$0$から$9$までの数字が同じ割合で現れることが1909年にボレルによって証明されました。このような数を正規数といいますが、この研究を皮切りとして20世紀に数多くの数学理論が発展しました。現代ではこの定理は大数の強法則と呼ばれ、確率論の基本定理と位置づけられます。

数理の道に進むきっかけは?

自然現象の多くは方程式で記述されます。しかし太陽・地球・月という基本的な天体の運動ですら、きわめて特殊な状況を除いてはその方程式の解を求めることはできないことが知られています。また、単純な方程式であっても、その解が我々の直観の及ばない挙動を示すことも多くあります。そのような現象を確かに理解することは、数学的な方法によらざるを得ません。そのような意味で自然界の現象を理解したいというのがきっかけです。

どのような性質をもった定理や理論に、数学的な「美」を感じますか?

古くから誰でも知っているような易しいと思われていたことが、新しい解釈によって深い事柄と関係していることが判明することがあります。自分が理解していると思っていたことが、実はある事柄の限られた一面しか見ていなかったということを示してくれるような定理や理論に美しさを感じます。

数学科 自然情報学分野 乙部 厳己 Link

理学部クエスト 無限次元現象の解明を目指して
職名 准教授
略歴 1995 年東京大学教養学部基礎科学科卒業
1995 年京都大学数理解析研究所 研究生
2001 年東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了
2001 年信州大学理学部数理・自然情報科学科助手
2006 年同講師;博士(数理科学)
ホームページ http://argent.shinshu-u.ac.jp/