進化生態学分野

進化生態学分野
種間相互作用の進化と生態についてさまざまな研究をおこなっています。
(1)送粉マルハナバチ相の地理的な違いが山地性植物の花形質進化におよぼす影響
(2)アリ植物をめぐる昆虫5者共生系の相互適応と系統進化の歴史
(3)アリ-アブラムシ間での捕食-捕食回避をめぐるコンフリクトと種間認識化学物質の進化
(4)兵隊カーストをもつアブラムシとスペシャリスト捕食者であるガの間の対抗的な適応進化
(5)アリに寄生する特殊化したガの適応生態
などの研究について、フィールド調査、野外操作実験、室内行動実験、分子系統樹の作成、安定同位体比分析、体表炭化水素分析などの手法を用いて取り組んでいます。

(1) ウツボグサに訪花するナガマルハナバチ

花の形が送粉昆虫の形に合わせて進化していることを明らかにしました。

(2) ヤマホタルブクロに訪花するヒメマルハナバチ

標高ごとに異なるマルハナバチ種がこの花を訪れます。小型種が訪れる標高では花のサイズが小型化していることがわかってきました。

(3)アリ植物の幹内に営巣するシリアゲアリ

アリ植物の幹中空部の内壁には牡蠣殻の形をしたカイガラムシが多数ついており、植物の師管液を吸汁しています。カイガラムシは肛門から甘露を分泌し、アリがそれを吸い取ります。アリ植物、アリ、カイガラムシはそれぞれ10系統(種)以上おり、アリ植物種ごとに異なるアリ、カイガラムシが共生しています。分子系統解析から、この共生系は約2000万年前に起源し、三者が互いに影響し合いながら種分化を繰り返してきたことがわかってきました。

(4) ヤノクチナガオオアブラムシから甘露を受け取るクサアリ亜属の一種

撮影:小松貴
撮影:小松貴

クチナガオオアブラムシ類は長さ2センチ以上の口吻を樹幹に刺して吸汁するため、外敵に攻撃されてもすぐには逃げられません。このため、アブラムシは共生アリに守ってもらっています。しかし、この共生アリは時にはアブラムシを捕食することがあります。アブラムシは共生アリの体表面物質と似た化学物質を分泌していることがわかってきました。

(5) トビイロケアリの巣内に寄生するクボタアリヅカコオロギ

撮影:小松貴
撮影:小松貴

このコオロギは様々なアリ種に寄生します。その一方で、特定アリ種にしか寄生しないコオロギ種もいることがわかってきました。

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市野 隆雄
市野 隆雄 Link 教授
生物の共生と共進化を探る 信州には、大学の内外を問わず「とことんやりたい人」、そして「ナチュラリスト」が集まってきていると実感しています。