医学生豆知識
虫垂炎の臨床診断スコア
虫垂炎は,画像を撮る前に臨床的に確率を推定するのは現代でも今なお難しい疾患です。
Alvaradoが提唱したスコアリングシステム(1986)は症状や血液検査所見の8項目からなり合計が10点です。それぞれの頭文字を取ってMANTRELS scoreとも呼ばれます。
- Migration to the right lower quadrant(右下腹部への痛みの移動):1点
- Anorexia(食思不振):1点
- Nausea and vomiting(悪心・嘔吐):1点
- Tenderness in the right lower quadrant(右下腹部痛):2点
- Rebound pain(反跳痛):1点
- Elevation of temperature>37.3℃(37.3℃以上の発熱):1点
- Leukocytosis(10000/μL以上の白血球数上昇):2点
- Shift to the left(好中球分画70%以上の左方移動):1点
7点以上であれば可能性は高いとされ,一方で3点以上では可能性が低くなります。
虫垂炎疑いの患者さんを診療するときは,特にこれらの項目の病歴収集,診察,検査を考慮しましょう。もちろん,他のバイタルサインやBlumberg徴候などの特異的な所見の有無も重要です。