医学生豆知識

患者さんの行動変容のために

臨床の現場では、禁煙や禁酒、インスリンの導入など、医師が患者さんに行動の変容を提案したりすることがあります。しかし、大事なのは「行動を変えさせる」のではなく、あくまでも患者さん⾃らの考えで患者の「⾏動」を「変容」してもらうこと。

そのための手法がいくつか提唱されており、紹介します。

1.行動変容ステージモデル(Prochaska, et al.,1982)

人が行動(生活習慣)を変える場合は、「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。
各ステージにあわせたアプローチが必要となります。例えば、無関心期であれば情報提供をしたり、行動を変容しなかったときのデメリットを伝え、関心を持つよう促します。動機付けが強固になれば決意を固めさせ、成功行動をさらに強化していったり周囲の支援を喚起したり・・・といって上手く行動を維持できるようにしていくのです。

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厚生労働省資料より)

2.重要度自信度モデル(Keller, et al., 1997)

これは重要度と自信度をそれぞれ1〜10で表してもらい、現状を4群に分類して分析するというものです。

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(週刊医学界新聞より)

3.LEARNモデル(Berlin & Fowles., 1983)

L Listen with sympathy and understanding to the patient's perception of the problem(患者の認識を傾聴する)

E Explain your perceptions of the problem(医師側の認識を説明する)

A Acknowledge and discuss the differences and similarities(共通点と相違点を話し合う)

R Recommend treatment(方針を勧める)

N Negotiate agreement(実践できる妥協点を見出す)