お知らせ

平成26年2月28日開催 外部評価委員会 報告書

【参加者】
       井上 憲昭   長野県厚生連合会 富士見高原病院 統括院長
       大和 眞史   諏訪赤十字病院 院長
       金子 源吾   飯田市立病院 院長
       久保 惠嗣   長野県立病院機構 理事長
       齋藤 宣彦   医療系大学間共用試験実施機構 理事
       藤井 秀樹   山梨大学医学部 教授
       吉澤 要     信州上田医療センター 地域医療教育センター部長
       福嶋 義光   信州大学医学部 学部長
       田中 榮司   信州大学医学部 教授
       多田 剛     信州大学医学部 医学教育センター長
       森 淳一郎   信州大学医学部 医学教育センター副センター長
       清水 郁夫   信州大学医学部 医学教育センター助教

【添付資料】

H25_外部評価委員会議事録.pdf

H25_外部評価シート.pdf



【議事録概要】

最初に、新しく評価委員となられた久保先生および本年度から臨床実習担当として赴任した清水先生の紹介があった。

1. 臨床実習について
本年度は、新カリキュラムにおける臨床実習案を作成した。
(意見)
臨床実習でどこまでやるべきかについては医学部長病院長会議において検討されており、いずれ新基準に変更する必要がある。内科としてこういう所を教えてほしいというような案を出してほしい。少なくともここだけは教えてほしいという提案をすべき。最初に呼吸器内科に行った学生と、実習の最後に行った学生とで終わった時のレベルが全然違ってくるという心配がある。ベーシックの時には本当に基本的なことだけ教え、150通りの時間を長くとる方が良いのではないか。


2. TBLとe-learningシステムの利用拡大について
臨床手技動画をスキルズラボに導入した。授業時間の短縮を補完すべく、各講座の教員にe-learningシステムの利便性と効果について周知した。TBLの時間は授業短縮前と同じであるため、相対的に授業に占める割合は増加した。授業時間短縮後に行われた試験結果において、少なくとも成績の低下は見られていない。
(意見)
授業を90分間とすることについてのエビデンスはなく、60分間で十分であり学習効率はあまり変わらない。世界医学教育連盟が某大学の講義(座学)時間数が多すぎることを指摘したこともあり、国内の大学における講義や受動的学習は減る傾向にある。昔のPBLチュートリアルは、非常にモチベーションの高い集団でない限り、チューターに対する負担が非常に増える。ここのTBLは非常にうまくいっていると感じる。
e-learning教材をきっちり作るところとそうではないところが出るのでは。e-leaningの一番の欠点はやる学生とやらない学生がいるということで、差がつきやすい。このため、どこかで監視が必要。


3. 院内診療科および教育協力病院での受け入れ態勢の調整
宿泊まで加味した受け入れ態勢について協議し、実習案に反映した。何をどの程度教えるべきかについては、各病院の先生に集まっていただいてワークショップ形式で検討したい。教育の質をそろえるために、昔の臨床講義に近いものを実施し、それを配信することを検討している。
(意見)
150通りでは、何を意図したコースかを明記すべき。実習病院にはそれぞれの特徴があり、それがプラスである場合も、逆にプラスでない場合もありうる。このため、ある程度は足並みを揃える必要があり、FDが必要である。到達度を共有するために、成文化されたGIO、SBOを整える必要がある。最低限の達成目標を明示するということが必要。ある程度最低限の線、60点のところを決めておいた方が良い。自分の教えているレベルがどのレベルか、要求されているレベルがどの程度かということがある程度分かるような何かがあればありがたい。
教育者が自己評価した教育の質を、学生のポートフォリオに入れるべき。このようにすると、学生のポートフォリオをチェックすることで、教育の質が分かる。
「学生用mini-Clinical Evaluation Exercise 短縮版臨床評価表」は変えたほうがよい。オリジナルは、評価を受けた人もサインし、フィードバックがそこでかかる。


4. 教育協力病院への出張FD
20病院にて出張FDを開催した。
(意見)
説明会程度にしか意識されていない。各病院の代表者を決めていただき、大学においてその人たちに2-3時間のFDを行い、彼らが各病院へ帰ってFDを実施すると機能的。最終的に各病院で自主的にFDを何回か繰り返し、質を高めていかないといけない。少なくともそれだけの覚悟をしてもらう必要がある。


5. ハワイ大学におけるシミュレーション教育指導者養成講習会の開催およびスキルズラボの常設

ハワイ大学へ12人派遣し、シミュレーション教育指導者養成講習を受講した。スキルズラボを常設し、臨床実習における使用を促した。
(意見)
思ったより講習会への参加者が少ない。病院のシミュレーションシステムと医学部スキルズラボの二本立てはもったいない。


6. 3年次生の臨床医学講義について
(意見)
先生方にケーススタディを使って授業を行ってくださいと伝えることが大切。
ベーシックサイエンスの先生方から圧迫されているというご感想があるのでは。研究者育成も大学の使命にあり、そこをどうやって乗り越えるか。基礎系の先生がユニット講義に参加する工夫をしていかないと難しい。


7. ポーフォリオについて
(意見)
総括評価の資料としてポートフォリオが使われるということを先生方に知っていただく必要がある。
山梨大学では1年生の時からポートフォリオを作らせている。このポートフォリオには、入試の順位、クラブはどこに所属しているかなどを全部いれており、人物全体を見ることが可能。成績だけを入れてもポートフォリオにはならない。教える側に情報を与えるためにもポートフォリオは重要。この学生さんどんな人?今まで何してきた?というのが知りたいこと。成績をみても、どんな人か分からない。学生時代に成績が良かった人が、全部良い医者になっているとは限らない。
患者さんからいただいた感謝のお手紙もポートフォリオにいれるべき。自分はこうなりたいというのも入れ繰り返し読み返す、つまり自己へのフィードバックがかかるようにすると有効。こういったものをトータルに評価しないと、本当の意味のポートフォリオではない。これを実現するには、電子化しないと困難。


8. 2学年合同講義について
昔の臨床講義をイメージしており、学生同士どれくらい臨床推論能力があるかを見せ合うことで勉強する意欲を掻き立てたいと考えている。頻度は2週間に一回程度を考えている。
(意見)
 昔の臨床講義をイメージでは、学生はまじめに聞かないのでは。このような授業では、たとえば胃瘻を作るとかどこまで治療を行うかなど倫理的な所を取り上げてはどうか。多職種連携を視野に入れているのは素晴らしい。屋根瓦の考え方はよいが、そのストラテジーとしては、講義・座学よりグループ学習などを検討すべき。上級生3人下級生3人の6人ではグループ数が多すぎるかもしれないが、6年生が5年生を教えるのは、かなり効率がよい。


9. 卒後臨床研修とのコラボレーションについて
(意見)
指導医、研修医、学生というチームが組めるとよい。


その他のご意見
 150通りで学生を受け入れることは、逆に病院のほうが評価されることにもなるため、各病院にとってプレッシャーになる。各病院に対するFDをしっかりやってもらい、どの程度の教育をすべきかについて共有すべき(久保委員)。
 実習コースの特性が分かるようにし、学生が選択しやすいようにすべき。学生も病院も活性化し、両方にとってプラスのあるような状況にしていただきたい。5年6年でも成績を確認すべき。やる気がない学生を受け入れるのはストレスになり困る。ある程度は情報を共有してもらいたい。(井上委員)。
 かならずしも病院全体が積極的になっていない。これから具体化していく中で、もう少し浸透させていきたい(吉澤委員)。
 準備をお互いにしっかりやっていきたい。共通の到達目標をしっかり作っていただきたい(金子委員)。
 長野県の医療レベル、病院のレベルといった地域性が、この事業の大きな原動力になっている。よいシステムとしてほしい(藤井委員)。
 ぜひこの取り組みを公にする、信州大学はこれだけやっているということを公表するべき。また、学外の先生方をますますお忙しくさせているのだから、どのように報いるのか、例えばお名前を差し上げる等のシステムが必要。それは、医者同士だけが知っているのではなく、新聞等においてパブリックに公表すべき(齋藤委員長)。

以上

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