150通りの選択肢からなる参加型臨床実習プロジェクト概要

"長野県の医療機関全体で学生を育てる一大プロジェクト"

いま、日本の医学教育全体でグローバリゼーションということがささやかれています。医学生の臨床教育を国際基準と比較すると、日本は時間的にも内容的にも、充実しているとはいえないのが現状です。「臨床推論能力」ということが指摘されますが、医師国家試験に合格し、新任医師としていざ患者を目の前にしたときに、どのような診察・治療をするのか、その力が足りないという問題が見られるのです。 本プロジェクトは、国際グローバル化に対応した医学教育を行うことを目的とし、文部科学省の公募による「基礎・臨床を両輪とした医学教育改革によるグローバルな医師養成」事業に採択されました。実習期間を72週へと大幅に拡大、また県内30カ所の病院と連携して参加型の臨床実習を進め、卒業時に現在の臨床研修医の1年目修了程度の実力をつけることを目指しています。

長野県は300床程度の小規模病院が地域医療の中核であり、このことが本プロジェクトを支える大切な要因になっています。一般的に、医学生の臨床実習は大学病院や同規模の病院が中心です。しかし、お腹が痛い、頭が痛い、という患者さんの多くは、地域の病院で適切な診療をしてもらうものです。特別な疾患の患者さんが大学病院や大規模の病院に集中するため、そこでの実習が中心になるとプライマリ・ケアの力が弱くなります。地域の各病院で臨床実習ができるということは、臨床医にとって欠かすことのできない基本的な診察能力を養うことにもつながるのです。また、病院にとっては将来的に県内にとどまって地域医療に従事する医師の増加も期待されます。
プロジェクトの実施にあたっては、受け入れ先の病院の負担軽減のため、医学教育研修センター教員が各協力病院に出張して、学生の教育についての助言やサポートを行っております。県内の各病院にご協力いただきながら、本プロジェクトが長野県の地域全体にとって実りある成果をもたらすことを願っております。

目的

国際標準の臨床実習を行うため、附属病院および県内教育協力病院(約30 施設)にて参加型臨床実習ができる環境を整える。

取組内容

長野県は300床程度の小規模病院が地域医療の中核となっている。このような病院は、同時期に多数の学生を受け入れることは困難であるものの、診療科毎に1名の学生であれば通年で受け入れ可能な環境にある。そこで、医学部附属病院および県内の教育協力病院の要望を取り入れ、5年次後期にレディーメイドの研修プログラムを150通り以上設定する。その中から学生に1つを選択させることで現場に負担をかけることなく72週間の臨床実習を実現する。

プロジェクト概要