臨床実習はこう変わる

実習の場を150通りから選べます

5年次9月からの実習では、信州大学医学部附属病院をはじめ、県内外約30の病院(公立病院、赤十字病院、JA長野厚生連、その他病院等)にご協力いただき、6カ月150通りの臨床実習の選択肢が用意されます。1学年約120名の学生が自ら選択し、「1診療科1人ずつ」と「学生が最初に患者を診る」を基本に臨床実習を行います。教育協力病院では、大学病院ではあまり見ることのない一般的疾患(common disease)に数多く接することができるようになります。

医療チームの一員として「参加」します

これまでは、多くの日本の大学で採用している見学型(ポリクリ)、つまり見ているだけの臨床実習に多くの時間が割り当てられていました。2014年度からの本プログラムにより、信州大学医学部の臨床実習は診療参加型(クリニカルクラークシップ)に変わりました。信州大学医学部附属病院および教育協力病院において、スチューデントドクター(臨床修練生)として医療チームの一員に加わり、患者の診療、カルテ記載、患者マネジメントなど、より高度な臨床実習を実現しています。

世界標準「72週」の実習期間

従来の50週間の実習期間を、世界の標準期間とされる72週間以上に拡大しました。2014年以前は5年次生4月から行われていた臨床実習を、4年次生9月からに変更。4年次生9月から5年次生7月までは信州大学医学部附属病院のすべての診療科を回って基本的な手技や知識、態度などを学んでいます。その後、5年次生9月から6年次生6月まで、附属病院および教育協力病院において各医療チームに参加。臨床実習開始時期が早まることにより、主に3年次生4月から開始されていた医学専門科目が2年次生からに変更されました。

到達目標を明らかにします

各領域における臨床実習の到達目標を、信州大学と教育協力病院の指導医が協同して策定しました。
これにより、どの病院でも同じ目標を目指した実習体制を提供することができるようになります。
日々の実習では、学生は実習経験を「ポートフォリオ」という書式に記録し、振り返りながら自ら成長できるよう促します。
さらに、実習の評価として、筆記試験だけでなく、技能試験(OSCE)を実習前、実習中、終了時に行うことで、知識・技能・態度の全てにおいて目標を達成できたかを判断します。

大学教員が現場をサポートします

1診療科1人ずつの配置、また医療チームに学生が参加する体制を確実にするため、信大医学部の医学教育研修センター教員が病院を巡回し、現状把握や助言等のサポートを行っています。これは、臨床実習の現場で多く見られる病院側と学生側との認識のずれを解消していくための試みです。多田剛・医学教育研修センター長をはじめ教員が各病院に赴いて出張FDを行い、各病院との具体的・建設的な意見交換を継続することによって、実習現場の絶え間ない向上に努めます。

臨床実習はこう変わる