James A. Levine, M.D.,
Ph.D.
内分泌研究室、メーヨクリニック 助教授
非運動性エネルギー消費
非運動性エネルギー消費(NEAT)は、睡眠、食事、スポーツによる運動以外のエネルギー消費をいう。労働のための歩行、タイピング、庭いじり、農作業などがこれに入る。
NEATは次の2つのうちどちらかで測定する。一つ目は、1日の全エネルギー消費量を測定し、その値から、基礎代謝量と食事による代謝量を差し引く方法。2番目は、1日のうち、NEATに相当する行動時のエネルギー消費量を逐一測定し、その和を求める方法、である。
ヒトにおけるNEATは、活動の量と種類にそれぞれの活動に要するエネルギー消費量を乗じて算出する。NEATに影響する要素は、幾つかの環境因子に簡単に分離できる。例えば、コンクリートジャングルの中で働き、生活することによって生じる因子がそれに相当する。あるいは、より生物学的因子も考慮する。例えば、体重、性別、体組成がこれに当たる。これらの因子が組み合わさってNEATは変化する。
NEAT の変化は、デタラメにおこっっているように解釈されているが、ヒトおよび実験動物で行われた実験結果は、それを否定している。NEATの変化は、実験的に誘導されたエネルギー収支変化に微妙従っていることから、NEATは体重変化の生理学的メカニズムの解明に重要であるように思える。すなわち、NEATや不活動は肥満に重要なのだ。最近、NEATが神経性、末梢性、体液性にどのように調節されるか、を明らかにする研究が注目されている。体重コントロールのために現場で処方されてる運動に、NEATが相当するという考え方を提示する。