上條義一郎
信州大学・大学院医学研究科・スポーツ医科学分野・助手
1997年、信州大学医学部卒。2001年同大大学院医学研究科終了。医学博士授与。指導教官は、能勢 博 教授(スポーツ医科学分野)。同年、博士研究員として、米国エール大学ジョンビーピアス研究所に留学。指導教官は、Gary W. Mack 博士。2003年帰国後、現職。現在の研究テーマは、暑熱環境下運動時の体温、循環調節機構。
暑熱、脱水条件下の運動時には、高血漿浸透圧の中枢刺激が血圧維持に役立つ
暑熱、脱水環境下での運動時には、低血液量による圧受容器の除伸展刺激が、過剰な皮膚血管拡張反応を制限することで血圧を維持するように働く。一方、脱水による血漿浸透圧の上昇が脳内の浸透圧受容器を刺激し、高体温時の皮膚血管拡張を抑制する。しかし、この高浸透圧の中枢刺激が運動時の血圧維持に役立っているか、否か、不明であった。今回、我々は運動中の飲水が高浸透圧による皮膚血管拡張抑制を解除し、一時的な血圧低下を引き起こすことを発見した。このことは、脱水時の高血漿浸透圧の中枢刺激が運動時の血圧維持に関与することを示唆する。