前田清司

筑波大学人間総合科学研究科・先端学際領域研究センター・講師

 

筑波大学卒。同大大学院で、健康スポーツ科学分野でPh.D.取得。主な研究テーマは、運動時の循環調節とその運動トレーニングによる適応変化。その中でも、特にエンドセリン関連の血管作動性物質に興味を持っている。彼の最近の研究結果は、Circulation, J. Appl. Physiol, Am. J. Physiol. 等、レベルの高い雑誌に発表されている。

 

運動とエンドセリン・NO

 

血管内皮細胞は血管作動性物質を産生して局所の循環調節に重要な役割を果たしている。我々は、血管内皮細胞が産生する血管収縮物質であるエンドセリン(ET)と血管弛緩物質であるnitric oxideNO)の産生が、運動により変化し、それらの産生の変化は運動中の血流量の変化に対応した組織特異性があることを示した。さらに、ET受容体遮断薬の投与により、運動中の腹部臓器等における血流減少と活動筋における血流増大が抑制される知見も得た。また、ETNOは相互に影響を及ぼし合いながら、運動時の血流調節を行っていることも明らかにした。以上より、血管内皮細胞が産生するETNOは、運動時の循環調節において、重要な役割を演じている可能性が考えられる。