[ 研究テーマ ]
(1)
Dem* Project:新規シナプス後部タンパク質の発見と同定に関するプロジェクト
(*
dendritic mRNAを有する分子と定義する)
・新規シナプス後部タンパク質の同定とその物理化学的性質および生理機能の解明
それによる未知の脳の原理の発見を目指す。
・新規遺伝子から創薬への展開。疾患との関連。疾患予防,治療,適応への展開を目指す。
Novel PSD-related proteins we found or characterized:
Lrp4, synGAP, NIDD, p55, TANC, BAALC1-6-8, synArfGEF,
synUSP (USP48)
(2) シナプス後肥厚部(postsynaptic density, PSD)の分子構築の解明
Under intensive investigation now
(3) シ ナ プ ス 後 部 Membrane raft の 解析
We visualized the Raft-PSD complexes at the EM level and
propose “PSD and Raft work together”. PSD without the
aid of postsynaptic rafts cannot work in vivo.
We also found the presence of CaMKII clusters together with
PSD-95 in the membrane rafts.
(4) シナプス可塑性発現の分子メカニズム:シナプス後部の情報伝達系の解析
We reported first the conversion of CaMKII into Autonomous form
in the PSD (1987).
[
研究のめざすところ ]
高次の脳機能が発揮されるためには,多数の分子の関与が必須である。たとえば,シナ
プス後肥厚部(Postsynaptic
density, PSD)では千のオーダーの分子がシナプス可塑性
の発現に関わっていると見積もられている。しかるにその半数以上の分子が同定されてい
ない。脳の高次機能の発現メカニズムを知る上で,シナプス後部におけるシグナル伝達系
の制御,そこでのタンパク質のダイナミクスを明らかにすることは非常に重要である。そ
の為には,まだ完全には全体が把握されていないPSDタンパク質群について、新規のPSD
分子を発見・同定し、それらの機能を明らかにすることが必須である。さらに,これら未
知の分子の発見から派生して,新たな脳原理の発見,疾患との関連などが導かれる可能性
も高い。また,これらの分子の一つでも機能を停止すると,脳の高次機能に異常が生ずる
可能性がある。つまり精神活動に異常が生じたり,脳・神経系の病気になったりする。
シナプス伝達の制御や可塑性、また,シナプス機能に起因する脳や精神の疾患の理解する
上で,これら未知の分子を発見し,機能を明らかにすることが大きな役割を果たすと考え
られる。
当教室では教室発足以来,新規のシナプス後部タンパク質およびそれらをコードする遺
伝子を発見・同定するDemプロジェクトを行っている。その特徴は,シナプス後部の
local protein
synthesis系に着目し,独自に開発した網羅的方法
(Tian et al.,
1999)を用いている点である。これはシナプス後部に局在するmRNA種を網羅的に同定する
ことにより,シナプス後部タンパク質種を,網羅的に同定しようというものである。
現在までにいくつかの新規シナプス後部タンパク質およびそれらをコードする完全長遺
伝子について明らかにしてきた。また,これまでに発見した分子の中で特に精神・神経系
の病態との関連で重要と考えられる分子については,ノックアウトマウスを作成するなど
して,研究を継続している。新規のシナプスタンパク質の発見・同定の仕事は、ノックア
ウト動物を使った解析や,分子と様々な生理現象や病態への関わり,遺伝子と病気との関
わりなどを解明する為の研究を行う上でなくてはならない,最初の第一歩の研究である。
その先駆的役割は大きいと考える。
[ テーマの分担 ]
・LRP4 knock out mouse の解析 (棚橋 浩)
・新規DEM の開拓 (白井良憲)
・LRP4,
旧名ssLRP (synaptic short form LDL receptor-related
protein) :
(田 慶宝,宮沢昌子)
・synUSP (synaptic
ubiquitin-specific protease):(田 慶宝)
・synArf-GEF:(稲葉雄二)
・TANC (TPR domain, Ankyrin
repeat, coiled-coil-containing protein):
(李衛東)
・BAALC1-6-8, 旧名Cab (CaMKII a-binding
protein):(王 新)
・rat p55:(張 静萍)
・NIDD (nNOS-interacting
DHHC-containing Dem):(斉藤文典)
・Dem G15-6 (岡野 照)
・CaMKII (杜 豊,張 静へい)
・zDHHC-containing protein (田 慶宝)
・NOD (ルー永浩)
・ Ufc1, Ufm1 (棚橋 浩,劉 茜)
[ 大学院生,研究生の募集 ]
新規シナプス後部分子の発見プロジェクトに参画し,自らの手で,未知分子の発見・同定
および生理機能と病態関与を明らかにしたいと望む人は,ぜひ当教室の門をたたいてください。
学生(修士,博士),研究員,研究支援,研究助成,いずれも歓迎します。
[ 連絡先 ]
suzukit@shinshu-u.ac.jp
0263-37-2683
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