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免疫抑制療法と拒絶反応、感染免疫抑制療法と拒絶反応、感染

免疫と拒絶

免疫反応とは、私たちの体内に、細菌やウィルスなどが侵入したときに、これらを排除または無効化しようとする仕組みのことです。

人間の体は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)、腫瘍、異物組織(移植された新しい肝臓=グラフトもこれに含まれます)等など、本来自分の体に属していない異物が侵入してくると、これを自分以外のもの(非自己)として認識し、攻撃して異物を排除しようとする一連の反応を起こします。これを免疫反応といい、体を異物(=外敵)から守るために不可欠なしくみです。臓器移植の場合、移植された臓器(=非自己)も異物とみなされ、攻撃の対象となり免疫反応がおこります。これが拒絶反応です。

拒絶反応

拒絶反応・・・移植された臓器が患者自身の免疫反応により攻撃される反応

拒絶反応の種類としては以下のとおりです。

超急性拒絶反応

同種間(ヒトからヒト)の移植では通常ほとんど起こりませんが、たとえばABO型不適合間の移植で事前に必要な措置をしない場合に起こります。
移植直後から発生し、24時間以内に拒絶される激しい拒絶反応で、血管が縫合されて血流を再開した後、数分から数時間以内に、移植臓器の動脈は血栓(血のかたまり)で詰まってしまいます。他の動物からヒトへの異種移植では、ヒトの体に生まれつき備わっている抗体が、移植臓器に対して直ちに反応を起こして拒絶するため、大きな障壁となっています。

急性拒絶反応

急性拒絶反応は通常移植後、1週間から3カ月の間に起こるもので、肝臓移植では30から60%程度の頻度で起こるとされています。
急性拒絶反応を起こして移植臓器を攻撃するのは、リンパ球のうち主として細胞傷害性T細胞であり、現在、移植後の免疫抑制療法は、主としてこの予防および治療として行われています。急性拒絶反応が起こっても、適切に治療されれば大多数の例で拒絶反応の跡を残さずに治すことができます。しかし、拒絶反応が激しければ、移植された臓器が破壊され、機能しなくなってしまうこともあります。急性拒絶反応を完全に抑えることができれば、その後は服用する免疫抑制剤の量も減らすことができます。
なお、3ヶ月以降でもその患者さんにとっての免疫抑制が軽すぎる場合には急性拒絶反応が起こることもあります。

慢性拒絶反応

移植後、通常3カ月以降に発症します。ただし、3カ月以降に発症する拒絶反応が全て慢性拒絶反応ではなく前述した急性拒絶反応のこともあります。
この拒絶反応では移植臓器の動脈に血流を障害して枯れ枝状動脈の状態になり、徐々に機能を失いますがその機序は未だ明らかではありません。
このため、慢性拒絶反応に対する治療法は基本的にはありません。急性拒絶反応を少なくすることは、慢性拒絶反応の防止策にもなると考えられます。
残念ながら、現在のところ移植前に予測する方法はありません。

逆拒絶反応

きわめてまれには(0.3%程度)、逆拒絶反応(移植片対宿主反応: GVHD)と呼ばれる反応が起きることもあります。これはグラフトと共に入ってくるドナーのリンパ球がレシピエントの体に対して起こるものです。ドナーとレシピエントのHLAと呼ばれる白血球の型の組み合わせにより起こりやすいことがあります。

免疫抑制剤=「免疫を抑える薬」

・ 免疫抑制剤が少ない・・・拒絶反応がおこる可能性が高くなる
・ 免疫抑制剤が多い(免疫抑制状態が強)・・・細菌・ウィルス・カビなどに対する抵抗力が弱くなる



拒絶反応の予防と治療のための免疫抑制療法に用いる薬剤を免疫抑制剤と呼びます。主なものは後述します。
拒絶反応を恐れる余り免疫抑制剤を使い過ぎるとカビやウイルスなどを排除できずに患者さんは感染に弱い状態となり、重大な感染症を引き起こす恐れがあります。拒絶反応も感染症も生命を危険にさらす重大な合併症です。そこで、移植後は適当な量の免疫抑制剤により、感染症も拒絶反応も生じない状態を維持することが望ましいのですが、必ずしもそのような理想的な経過をたどるとは限らず、30~60%の患者さんが急性拒絶反応を起こすとされており、また、感染症の頻度も高くなっています。



移植後の最初の1ヶ月間は最も拒絶反応が起こりやすい時期で、免疫抑制を強力に行う必要があります。一定頻度で急性拒絶反応がおきますが、通常はすぐに治療され、後遺症を残すことはほとんどありません。この時期は、前述の理由から感染症にもかかりやすい時期です。幸い、移植後時間の経過と共に拒絶反応が起こりにくくなり、それに従って免疫抑制を軽減できるようになります。ただし、『免疫抑制剤の服用は生涯にわたって続けなければならず、一定の危険性を背負う』。

臓器移植では、ほかの治療と異なり、移植手術が完了した時点でファースト・ステージが終わり、患者さんと移植医のセカンド・ステージが始まります。移植後3か月を過ぎると拒絶反応の発生頻度は少なくなり、安定期に入ります。すなわち免疫抑制剤も減量され、その後に発生する感染症の頻度も減少します。
注意: 予防接種(中でも麻疹、水痘、ポリオなど)は可能なかぎり移植手術の1ヶ月前までにすませておいてください。また、脾臓摘出が予定されている場合には肺炎球菌ワクチンが必須です。移植後には免疫抑制剤を服用するために基本的には予防接種(生ワクチン)はできません。歯科、耳鼻科受診をして、虫歯、中耳炎などの感染症があればあらかじめ治療が必要です。

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