信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
歯槽骨骨折は、歯槽突起に限局した顎骨骨折で、歯および歯槽に加わる外力により生じる。
<症状>
出血:開放性骨折では常に見られるが、閉鎖性のものでも内出血(骨膜下、粘膜下)が見られる。
疼痛:自発痛、骨片の移動や歯の挺出による咬合痛、骨折線に沿う圧痛。
腫脹:出血、透過性の亢進
歯槽骨変位、可動性:複数歯が一塊として動く、歯槽堤部の変位
歯の症状:歯の挺出、陥入、動揺、脱落、破折、亜脱臼
機能障害:疼痛による発音障害、咀嚼障害
<診断>
臨床所見に加え、X線所見からも診断を行う。
X線の主線が骨折面に平行な場合、明確にフィルム上に現れる(歯槽壁や白線の連続性に留意)。そうでない場合、複数方向から立体的に撮影する。
パノラマ、オクルーザル、デンタル etc...
<処置>
受傷後、できるだけ早く処置することが大事。
外傷歯の保存に重点を置き、脱臼・脱落歯と同時に骨折部を整復し、適切な固定を行う。
@骨折部の整復:
開放創が無い場合は徒手整復し固定。
観血的処置の場合、粘膜断列部を切開部とする。
骨片が完全に遊離するような剥離をしない。
壊死組織、血餅、整復の障害となる小骨片や異物は掻爬、除去し生食水でよく洗浄する。外傷歯の処置を行う。
A整復、固定
徒手により骨片、歯を整復した後、これを確実に保持するため固定を行う。
・歯を用いた固定(非観血的)
接着性レジンによる固定、ダイレクトボンディング法
・骨片の直接固定(観血的)
骨縫合法、囲繞結紮、プレート固定
固定期間は骨折部癒着の為に4週間は必要。
B予後
骨折部の癒着不全や二次感染の有無、機能障害の回復などの予後観察を行う。
固定を撤去した後も長期にわたり観察を行う。
<小児の外傷>
小児の場合に問題となることは、整復後の固定源が求められないこと。
隣在歯に固定源が求められない場合は、後方大臼歯を固定源とした舌側弧線固定法や床副子固定法、また開放創として整復し囲繞固定を行う。
プレート固定は永久歯胚、萌出途上の歯に影響を及ぼすため行わない。
また固定期間中の齲蝕予防に注意をする。
参考文献:スタンダード小手術(デンタルダイアモンド社)
顎口腔の小外科(医歯薬出版)
小児歯科学テキスト(デンタルフォーラム)
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