信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral
Surgery, Shinshu University School of Medicine
歯根尖切除術 1998.12.16 大塚
1. 適応症
1)歯根嚢胞、歯根肉芽腫などの根尖病巣が存在し、根管治療では治癒の困難なもの
2)根尖の彎曲、根管の狭小、閉鎖などのため完全な根管清掃、充填ができない場合
3)根尖部付近でリーマー等破折した場合
4)根管治療中根尖部付近で穿孔した場合(根尖側1/2)
5)著しい過剰根管充填で根尖部に炎症を起こし、根管から充填物を除去できない場合
6)除去不可能な補綴物が装着されている歯牙の根尖に根尖病巣がみられる場合
7)顎嚢胞、顎の良性腫瘍摘出の際根尖が露出した場合
8)外傷などで根尖近くを破折した場合
2. 非適応症
1)病巣が大きく切除する根尖が歯根長の1/3を越える場合
2)歯周ポケットの著しく深い場合
3)動揺著明な歯牙
4)急性炎症のある歯牙
5)短根歯
3. 前準備
1)X線診査:歯根の位置、形態、根尖病巣の大きさ、範囲、歯槽骨の状態、
隣在歯の状態、上顎洞、鼻腔底、下顎管との関係
2)根管処置:根管処置が不十分な場合成功率は50〜60%、十分行われた場合95%。
根充の時期は術前に行う場合と、術中に行う場合があるが無菌操作の点では後者が優れている。
4. 器械、器具
ミラー、ピンセット、探針、注射器、メス(No15)、骨膜剥離子、マイセル(丸、平)、マレット、破骨鉗子、骨ヤスリ、鋭匙、粘膜剥離子、根管充填セット、電気エンジンまたはタービン、バー、持針器、縫合針、縫合糸、鋏
5. 術式
1)麻酔:浸潤麻酔は患歯を中心に近遠心2歯くらいの範囲で、上顎の場合は口蓋側にも十分に行う。下顎の場合必要に応じて伝達麻酔を併用。
2)切開:切開線の設定は(1)骨欠損部は避け、健康な骨面上に設定し、骨腔縁から3mm以上離れていることが望ましい。(2)十分な術野を得る大きさで、通常両隣在歯の遠心側以上。
a)Partsch弓状切開(図1):弓状の頂点は歯肉縁から5mm以上離す。
b)Wassmund(NeumannーPeter)歯肉縁切開(図2):大きな歯肉弁が必要なときに用いる。術後歯肉退縮という欠点がある。
図1 図2
3)歯肉骨膜弁形成:骨膜剥離子にて粘膜骨膜弁を形成し、骨面を十分露出させる。
4)骨の削除:骨の菲薄化または欠損部位からマイセル、マレット、破骨鉗子にて骨を開削。
5)根尖切除と病巣の摘出:鋭匙、粘膜剥離子等にて病巣摘出(図3)。根尖切除はマイセル、マレットまたは骨バーにて断端と骨腔面が移行的になるように切除する(図4)。
図3 図4
6)根管充填:根管治療ができない場合は根尖部にか洞形成を行い金箔またはアマルガムにて逆根充(図5)。
図5
7)骨縁部の整理、創部の清掃:骨バーにて骨鋭縁を整理、異物を残さないよう生食にて十分清掃し止血を確認。
8)縫合
6. 後処置
術後の注意は抜歯等一般的外来手術に準ずる。
適当な抗生剤、消炎鎮痛剤の投与、口腔内保清。
縫合糸は術後1週間程度で抜糸。
骨腔が骨に置換するには数週間から数カ月。
〈参考文献〉
図説 口腔外科手術学 上巻 (医歯薬出版株式会社)
最新 口腔外科学 各論 (医歯薬出版株式会社)
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine