信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
2001.10.10 宮沢
1,正常血液における白球球は次ぎの5種類に区別され、又、好中球はその成熟度合いから以下の細胞型に分けられる。
. 中性好性白血球(好中球)
. 酸好性白血球 (好酸球)
. 塩基好性白血球(好塩基球)
. 単球
. リンパ球
2,白血球数の異常
白血球増加:感染症など主にサイトカインを介した反応性のものと、自律性の増殖、つまり白血病を代表とする腫瘍性のものがある。
<好中球増加症>
反応性好中球増加症:感染症、代謝障害、組織壊死、その他
腫瘍性好中球増加症:慢性骨髄性白血病では、骨髄球、後骨髄球を主体とした幼若球の出現を伴う好中球増加、好中球アルカリホスファターゼ活性低下が特徴的である。
<好酸球増加症>
アレルギー性疾患、寄生虫感染症が代表的である。骨髄増殖性疾患などの血液疾患、膠原病、癌などの他に、特異な疾患として特発性好酸球増加症候群がある。
<好塩基球増加症>
反応性増加は極めて稀であり、ほとんどは、慢性骨髄性白血病や、真性多血症などの骨髄増殖性疾患である。
<単球増加症>
結核、亜急性心内膜炎、ブルセラ症、腸チフスなどの感染症、急性肝炎、骨髄性単球性白血病などで認められる。
<リンパ球増加症>
感染症、主にウイルス感染症でみられるほか、百日咳、結核、トキソプラズマ症などでも現れる。慢性リンパ性白血病では、形態学的に成熟したリンパ球が増殖し、多くはB細胞型である。成人T細胞白血病は、核に特有な切れ込みを持つ(花弁状核)Tリンパ球の増殖がみられる。
白血球減少症
<好中球減少症>
薬物に対する過敏性反応により好中球数が激減することがあり、無顆粒球症と呼ばれる。
<リンパ球減少症>
後天性免疫不全症候群、先天性免疫不全症、血液疾患、膠原病、薬物、放射線など。
3,血小板(thrombocytes)
血小板は、血管が破綻して出血がおこったときの一次止血に重要な役割を果たすため、血小板数が減少すると点状出血、紫斑などの皮下出血や鼻出血などのいわゆる浅在性の出血傾向が現れる。一方、血小板数が増加すると血栓傾向を呈するほか、術後の止血困難などの出血傾向がみられる。従って、血小板数の算定はこれらの血小板増加症、減少症の診断に必須である。
血小板減少症:血小板減少症は原因により以下の3つに分けられる。
<産生の低下>
再生不良性貧血、急性白血病、巨赤芽球性貧血、骨髄異形性症候群など。
<破壊、消費の亢進>
免疫機序を介した破壊の亢進:特発性血小板減少性紫斑病
介さない破壊の亢進:播種性血管内凝固症候群<局在の異常によるもの>
肝硬変、特発性門脈圧亢進症などの脾腫の存在によりおこる。
血小板増加症:血小板増加症は、腫瘍性と二次性に大別される。
<腫瘍性>
原発性血小板血症、慢性骨髄性白血病、真性多血症、骨髄繊維症
<二次性>
急性出血後、摘脾後、鉄欠乏性貧血、悪性腫瘍、結節性動脈周囲炎
参考文献:一目でわかる臨床検査、
歯科学生のための診査検査学入門
検査のすべてがわかる本
臨床血液学
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