信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
Mucocele
粘液腺の開鎖,峡窄、損傷によって生じた貯留嚢胞のこと。軟粗繊に生じる嚢胞の40%を占める。20才代が好発年齢。性差はない。下唇に最も多くついで舌、頬粘腰の順に生ずる。
症状
大豆大〜小指額大で半球状に膨隆。浅在性だと青紫色を呈する。特に下唇のものは、自壊と再発を繰り返す。
治療
外科的摘出術(周辺部の腕組織を合めて除去)最近では、凍結外科も試みられている。
口唇粘液嚢胞摘出術について
(1)要点
@粘液嚢胞は、壁に上皮を有することはほとんどない。切開などで縮小しても再発するため、全摘が望ましい。
A嚢胞の自壊直後、穿刺直後では、周囲組織との壊界が不明瞭なため、嚢胞が膨隆した時に摘出術を行う。
B嚢胞部位に接触する歯牙、補綴物の鋭縁を除去し再発を防上する。
C通常は、最所麻酔で良い。
(2)機械、材料
No.15の替刃メス、小型剥離剪刀(曲)モスキート止血鉗子(無鈎)
(3)街式
@嚢抱が小さい時は、ロ唇のしわに一致した縦切開を加える。通常は嚢胞辺縁部より、2mm程度の余格をもった、周囲切開を加える。切開は粘膜下に留める。また介助者に、下口唇を把持させると粘膜は、緊張し切開しやすくなる。血管損傷による出血を防ぐことができる。
A粘膜切開の両端を止血鉗子で把持、牽引しながら、剥離剪刀を用いて嚢胞を周囲組織より鈍的に剥離、摘出する。困難な場合は、メスを用いて切離する。嚢胞をつぷさないように注意する。
B通常摘出創の底面に腺組織の露出が見られるが、その一部または、創辺縁部付近に小唾液腺の塊を見る。これらは再発防止のため摘出、清掃する。
C縫合:粘膜欠損創が小さいとき口唇のしわに一致させて縦方向の粘膜縫合で閉鎖する。欠損創が大きく口唇の変形をきたすようなときは、粘膜下に剥離剪刀を挿入し充分にアンダーマイニングを行った後縫合する。縫合に際し筋層も含め縫合し、粘皮下の血種を予防する。
(4)術後の処置
@縫合直後、症倒により口唇の厚みが増すこともあるが、ロ唇粘膜は進展性に富むため、5日前後でこの変形は修復される。
A感染防止のため術後4〜5日間、抗生物貫を投与。
B抜糸は7日前後に行う。
C粘液嚢胞は再発することがあるため、患者に説明をしておく。
機能障害:疼痛による発音障害、咀嚼障害
参考文献:スタンダード小手術(デンタルダイアモンド社)
口腔外科手術学(医歯薬出版)
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