信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会

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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine


             
唾石の手術               1999.3.10 降旗

1 症状

 食事のたびに顎下部に疼痛を生じ、腫脹を生ずる。

2 診断

 双手診 オルソパントモ 咬合法にて診断する。

3 器械 器具

  メス(NO11) 有鉤ピンセット、鋭匙 縫合用セット 持針器

  特殊な器械 (涙管プジー 注入用チューブ 注射器 造影剤 )

4 術式

 @手術部位の消毒 舌下部に浸潤麻酔

 A唾石の直上を粘膜を緊張させ、ワルトン管の走行に沿い切開する部分を設定する。

 B舌に糸をかけ、舌を挙上、触診により、唾石を確認しピンセットでつかみ、唾石直上に切開を加える。この際唾石より腺側において糸をかけ導管を牽引、挙上させ唾石が腺側に移動するのを防ぐ。

 C摘出。この際排膿をみることがあるので注意が必要。排膿がみられれば、ドレーンを留置。また鋭匙により唾石を壊さないように摘出する。

 D縫合。ワルトン管を狭窄しないように表層粘膜のみ縫合。

5 注意点

   問診時

 @唾せん痛 食事の都度顎下部が痛くなり顎下部の腫脹が見られる等の特徴的症状の確認。

 A口腔底蜂窩織炎、顎下リンパ節炎、慢性顎下腺炎との鑑別診断に注意。

 B双手診で唾石の位置大きさの確認。

 C咬合法により正確な位置の唾石の確認。

 D切開は唾石直上にて行う。

 E縫合時導管を狭窄させないよう注意。

6 後処置

 @術後の注意は抜歯等外来手術に準じる。

 A適当な抗生剤 消炎鎮痛剤の投与 口腔内の保清

 B抜糸は術後一週間後

7 腺体内に唾石が存在しているとき保存的処置を試みるも、慢性炎症を伴うことが多く全身麻酔下顎下腺の摘出が必要となる。

                <参考図書>

                  図説口腔外科手術学   医歯薬出版


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