信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会

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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine


                 嚢胞の手術 1999/1/20 高見澤

顎骨に発生する嚢胞の治療方針

 嚢胞の治療は外科的方法のみ適応となる、ただし患者の全身状態、Cyst size,顎骨の状態により、一期手術と、開窓法あるいは開窓法と摘出術などの多期手術が適宜適応となる。

顎骨嚢胞手術法は、Partsch 1 partsch 2 に分けられ、さらにPartsch 1は開窓法とpacked openに分けられる。

手術名

Partsch 1
開窓法

Partsch 1
Packed open

Partsch 2

 

嚢胞壁

手術創の開放の有無

保存

開放

摘出

開放

摘出

縫合閉鎖

外科的侵襲

ope所要時間

poor risk Ptに対し

創治癒

一期創

 最終的

cyst relapseの可能性

関連歯の歯随保存

ope後不快事項

ope後の感染

早い

遅い    若者適

少ない

可能

食片圧入など

ope1Wで開窓部壁は扁平上皮に化生

やや大

やや少

やや適

遅い

遅い   若者適

少ない

不可

左同

PoMCがこれに相当(経鼻的開放)

やや大

やや大

 

早い

やや早い 老適

あり得る

不可

ほとんどない

しやすい(死腔)

Partsch 1Partsch 2の選択=

 比較的小さい嚢胞にPartsch 2が適応となり、比較的大きい嚢胞はPartsch 1が適応となる。しかし治癒速度の有利なPartsch 2の適応範囲を拡げるために、感染riskの減少方法(死腔減少)としてアパタイト顆粒(セラタイト)の填入などが使用され、大きな嚢胞にも適応可能となってきている。しかし更に大きい嚢胞など、摘出する事により、病的骨折を起こす恐れのあるときは、可及的に骨質とくに下顎骨下縁を残し、顎間固定を行い、骨新生を待つ方法や、骨移植などの方法がある。

含歯性嚢胞においては(歯牙腫なども)Partsch 1が適応となり、歯根未完成歯では、開窓による急な減圧により、歯牙の脱落があるので栓塞体(シーネ、義歯)などのより萌出誘導させる、歯根形成2/3以下が適応となる、また歯根完成歯ではMTM、牽引誘導させる。

      
Partsch 1 開窓法   Partsch 1 Packed open    Partsch 2

参考文献:埋伏歯の臨床(医歯薬出版)
標準口腔外科学(医歯薬出版)
図説口腔外科手術学(医歯薬出版)


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