信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
目的)
主として顎関節痛や咀嚼筋筋痛などの疼痛に対しての対症療法,ならびに疾病の発現過程における悪循環の遮断。
<治療に用いる薬剤>
1)鎮痛消炎剤 非ステロイド系鎮痛消炎剤(ロキソニン,ボルタレン,インダシン)
2)筋弛緩剤 塩酸トルぺリゾン製剤(ムスカルム)
3)精神安定剤 ジアゼパム製剤(セルシン,ホリゾン)
(1)鎮痛消炎剤:非ステロイド系を用いる。末梢性に作用する。
適応症:関節包内、靭帯、筋肉の炎症、疼痛
TMDで使用する場合には鎮痛作用に加え消炎作用も強いものを選択する。鎮痛作用のみが強いものは治療に適さない。また炎症をコントロ−ルするためには持続的に血中濃度を上げておかなければならないので定期的に内服する必要がある。文献的には十分な効果を得るには2週間の連続投与が必要とされている。
副作用:胃腸障害
連続投与の場合、なるべく胃腸障害の少ないプロドラッグを選択し、消化薬とともに処方するのが原則。また、催奇形作用が報告されているので、若い女性に投与する際には注意が必要。
禁 忌:消化性潰瘍
(2)筋弛緩剤
適応症
咀嚼筋や頭頚部の筋にこりや痛みがでている場合に有効。急性の骨格筋痛を緩和し、休息と理学療法の補助として使用すると効果的である。急性筋、筋膜痛の短期治療に有効。
副作用:眠気
禁 忌:妊婦、授乳中の婦人
(3)精神安定剤
適応症
睡眠時のブラキシズムに起因するTMD症状(特に起床時に症状が強いタイプ)に有効。これは睡眠の改善(熟眠)によりブラキシズムの減少、ストレスや筋弛緩作用が期待できるためです。
副作用:眠気、倦怠感など
ただし睡眠時のみの使用では、あまり問題にならない。
禁 忌:重傷筋無力症、急性狭隅角緑内障
(4)抗うつ剤
適応症
慢性のTMDを有する患者管理に使用。副作用が強いため本当に必要と思われる場合に限り使用すること。
副作用:眠気、ふらつき、口渇、便秘、緑内障の増悪
禁 忌:緑内障、前立腺肥大、心伝導障害
<顎関節症の症型と使用薬剤>
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(6)局所注射剤
ロ局所麻酔剤
顎関節周辺や咀嚼筋の圧痛部位へ浸潤麻酔を行うことがある。また、関節痛と筋痛の鑑別、および疼痛の除去による悪循環の遮断の目的で関節腔内へパンピングすることがある。
ワ副腎皮質ホルモン剤
疼痛が強く持続する症例、内服薬が奏効しない症例、内服薬の使用が制限される症例に適用されるが、発症原因が内在性外傷に起因した症例や特発性の症例、保存療法が奏効しない症例、激しい運動痛と開口障害を伴う症例、およびX線写真上で骨・関節部に形態的異常がみられない症例などに効果があるとされている。本法を行う際には感染に注意し、注射間隔を少なくとも1ヶ月以上おき、回数をできるだけ少なくすることが必要である。
適応症
炎症病態に関連した、顎関節の激烈で持続性の疼痛。激しい痛み、炎症の症状があるとき、関節腔内注射が推奨されてきた。これは下顎頭変性の危険があるため通常年2回以下と使用が制限されてきた。不溶解性の長期作用型の副腎皮質ステロイドを顎関節の外側に皮下注することも関節腔内注射に代わるべき手段として提唱されてきた。これはステロイドを注射部位に限局させる利点がある。
副作用
長期の使用は下垂体や副腎機能を抑制する可能性があるため禁忌。また免疫機構を抑制し、感染に対する患者の抵抗力を減少させる。しかし、炎症に起因する急性のTMD状態の治療に対する妥当な副腎皮質ステロイドの短期間の治療は有益な結果をもたらす。
参考文献:最新顎関節症治療の実際 クインテッセンス出版株式会社
顎関節の臨床 医師薬出版株式会社
顎関節の基礎と臨床 日本歯科評論社
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine