信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会
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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School
of Medicine
1、顎関節症とは
顎運動時の関節痛、関節雑音、および顎運動異常を主症状とし、顎関節部の腫脹、関節液の貯留、皮膚温上昇など明確な炎症症状を欠く症候群を顎関節症と呼ぶ。(上野、1954)
顎関節および付近の運動痛、関節雑音、運動障害(顎偏位、開口障害)を主症状とする慢性非感染性の症候群に対する臨床診断名として、顎関節症と命名された。(上野、1965)
2、臨床症状について
1)疼痛
2)関節雑音
3)開口障害ないし顎運動異常
4)その他の症状 等が考えられる
*疼痛について
痛みは、『実質的あるいは可能性のある組織損傷に関連した、あるいはそのような損傷を表わす言葉で述べられている不快な感覚や情動体験』と定義されている。
疼痛の2/3は運動痛であり、8割が鈍痛、発現数は6割が開口時であり、起床時に疼痛が強い者が過半数ある。
*開口雑音について
顎関節音は、『下顎頭と関節円板、関節包などの関節部軟組織とが、顎運動中に何らかの成因によリ、衝突,摩擦,共振などの現象を起こし、これらが顎関節部軟組織の振動を惹起し、関節雑音として触知ないし聴取されるものと考えられている』
Clicking 弾発音、単発音 かくっかくっ こくっこくっ
Crepitus 摩擦音、捻髪音 がさがさ ざらざら
顎関節症患者の60%に関節雑音は認められるといわれている。
*開口障害ないし顎運動異常について
開口を制限する要因として
1 急性円板転位によるもの 下顎の患側への変位
2 筋、筋膜痛によるもの 筋、筋膜組織内のトリガーポイントからの関連痛
3 筋拘縮によるもの 運動制限を越えたときに生じる
4 筋スパズムによるもの 過労などによっておこる不随意突発性の持続性収縮
5 繊維性強直症によるもの
などが考えられる。
*その他の症状
頭部、頚部、肩部痛、肩凝り、手指のしびれ、耳痛ならび耳鳴り、眼痛、めまい、過換気症候群、Bruxism、などがある。中でも肩凝り、肩部痛を訴える事が多い。
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