EPITECを用いて顎顔面補綴を行った2症例
栗田 浩、成川純之助、倉科憲治
悪性腫瘍切除後に生じた顎顔面の欠損に対してEPITECTMを用いて顎顔面補綴治療を行った2症例を報告する。
症例1
患 者:77歳、男性
原疾患:右側上顎洞扁平上皮癌
現病歴:当院耳鼻咽喉科で頬部皮膚を含めた拡大上顎全摘出術を受けた。その後、顎義歯による機能回復を目的に耳鼻咽喉科から紹介され当科を受診した。
局所所見:右眼窩内容物、上顎前方の皮膚、上顎骨右半側および頬骨の一部は切除されており、頬部の欠損は、鼻腔および口腔と交通していた。最大開口量は2横指半であった。上下無歯顎。
処置および経過:術後約1年半経過観察後、全身麻酔下にエピテック・キャリアプレートの埋入術を施行。一次手術終了4か月後に2次手術としてインプラントポスト2本を装着。術後約2年4か月経過後、最終的にバータイプのアタッチメント維持によるエピテーゼを装着した。しかし、アタッチメントの維持力の不足によりエピテーゼが頻繁に脱落するため、維持装置をマッシュルーム型のアバットメントとシリコン印象材による方法に変更。以後脱落等のトラブルもなく経過観察中である。
症例2
患 者:70歳、男性
原疾患:左側上顎洞扁平上皮癌
現病歴:上記診断にて当院耳鼻咽喉科に入院。5-FU(計4,000mg)の動注併用で、放射線外照射50Gy施行後、頬部皮膚を含めた拡大上顎全摘出術を受けた。術後、顎義歯による機能回復を目的に耳鼻咽喉科からの紹介で当科を受診した。
局所所見:左眼窩内容物、上顎前方の皮膚、上顎骨左半側および頬骨の一部は切除されており、頬部の欠損は、鼻腔および口腔と交通していた。下顎骨筋突起は切除されていた。最大開口量は2横指ほどで、開口障害をみとめた。上下無歯顎。
処置および経過:約1年経過観察を行い、症例1と同様にエピテックシステムを用いたエピテーゼの製作を行った。また、顎義歯の維持のためにデンタルインプラントを使用した。
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