歯科口腔外科領域におけるCefoselis(CFSL)の組織移行と臨床効果の検討
○飯島響、栗田浩、酒井洋徳、大塚明子、小林啓一、倉科憲治
新しいセフェム系抗生物質であるCefoselis(CFSL)の歯科口腔外科領域での有効性を検討するために、口腔外科手術時に採取した組織への組織移行と、術後投与による術後感染予防効果を検討したので報告する。
対象:2001年3月から8月までに当科を受診し、調査に同意し、全身麻酔下に手術を受けた11症例。
方法:組織移行についてはCFSL(1gを生理食塩水100mlに溶解)を手術開始前から静脈内に約60分かけて点滴投与し、点滴終了時、術中、術後の3回の採血と手術部位を採取し、HPLC法にてCFSLの血漿および組織内濃度を測定した。術後感染予防効果は術後3〜6日間、CFSL(1gを生理食塩水100mlに溶解)を1日2回静脈内に点滴投与し、術後感染および有害事象の有無より有用性の判定を行った。
結果:術中に血漿:3.00〜26.90μg/ml, 歯肉:1.28〜7.16μg/ml,
顎骨:1.41〜4.62μg/ml,嚢胞壁:3.73〜15.95μg/ml
のCFSLの移行が認められた。術中の組織/血漿濃度比の平均は歯肉68.5%,
顎骨:24.8%,
嚢胞壁:65.3%であった。術後感染予防効果については11症例中10症例で有用性ありとの判定を得た。
まとめ:CFSLは手術部組織への良好な組織移行性を示すとともに、術後感染予防における効果にも優れ、口腔外科領域での有用性が期待される薬剤である。
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