教室の研究状況
信州大学医学部歯科口腔外科

学会報告

第54回日本口腔科学会総会

開業歯科医師に対する各種疾患を有する患者の歯科治療に関するアンケート調査結果 4、院内感染予防に関する調査結果

○栗田 浩、今井恭一郎、清水敏英、茅野めぐみ、畔上卓也、田中廣一、倉科憲治

 われわれは、各種疾患を有する患者さんの歯科治療に関して、その実態および歯科医師の意識を探る目的で、郵送によるアンケート調査を実施した。本報告では本アンケート調査内容のうち、院内感染予防に関する調査結果について報告した。対象は長野県中信地区の開業歯科医師247名。アンケートは封書、郵送にて行った。回答は105名より得られ、回収率は42.5%であった。回答者の内訳は男性91名、女性9名、記載の無し5名。経験年齢は最短5年から最長54年で、中央値が18年であった。結果は以下のごとくであった。
1,約2/3の歯科医師がいわゆる針刺し事故の経験があると回答した。
2,治療中の眼鏡、ゴーグルの使用は、全ての処置に使用64%、観血的処置のみ使用17%、使用していない18%であった。
3,治療中のグローブ使用は、全ての処置で使用47%、観血的処置のみ使用44%、使用していない10%であった。
4,グローブの交換頻度にについては、患者ごとに交換32%、半日に一回7%、1日に1回3%、汚染したら随時交換49%との結果であった。
5,アシスタントのグローブの使用は、全ての処置に使用59%、観血的処置のみ使用28%と医師と同様、使用率は約90%であった。
6,マスクの交換の頻度は、患者ごとに交換1%、半日に1回14%、1日に1回30%、汚染したら交換54%であった。
7,タービン・エンジンヘッドの交換の頻度は、患者ごとに交換21%、半日に1回10%、1日に1回21%、汚染したら交換48%であった。
8,デンタルユニットの清拭の頻度は、患者ごとに清拭24%、半日に1回12%、1日に1回35%、汚染したら清拭する27%であった。

開業歯科医師に対する各種疾患を有する患者の歯科治療に関するアンケート調査結果 5,ストレスの緩和対策および往診歯科治療について

○畔上千香、栗田浩、松澤智由貴、茅野めぐみ、田中廣一、倉科憲治

 我々は、各種疾患を有する患者さんの歯科治療に関して、その実態および歯科医師の意識を探る目的で、郵送によるアンケート調査を実施した。本報告では、アンケート調査内容のうち、ストレスの緩和対策および往診歯科治療に関する調査結果について報告した。
 対象は、長野県中信地区の開業歯科医師247名であり、封書によるアンケートで、全て無記名解答とした。回収率は42.5%で105名より解答が得られた。回答者の内訳は、男性91名、女性9名、記載なし5名で、歯科医師経験年数は、最短5年から最長54年で、中央値が18年であった。結果は以下のとうりであった。
 鎮静法の使用経験があると答えた歯科医師は55%で、笑気吸入鎮静法が最も多く利用されていた。局所麻酔時の痛みの緩和に関しては、特に行っていない歯科医師は2%と低く、行われている方法としては、表面麻酔、注入に時間をかける、麻酔薬を暖めるなどの対策が行われていた。治療中のストレスの緩和策としては、音楽を流すが82%、緑の配置が71%と多く、その他、絵を飾る、壁の模様を工夫している、隔壁を設けるなどが行われていた。
 往診歯科治療は、歯科医師の96%が経験ありという回答を得た。治療内容については、約1/3の歯科医師が観血的処置まで行うという回答が得られた。往診歯科治療患者の抜歯に関しては、約半数の歯科医師が病院で行うのが望ましいという回答を得た。

当科入院患者に於ける感染症保有者の臨床統計的検討

○宮澤英樹、栗田浩、畔上千香、上原忍、今井恭一郎、小林啓一、倉科憲治

 我々は、感染症患者の治療に於ける院内感染防止策としてのスクリーニングの重要性を探るため、入院時スクリーニング検査による結果及び問診による感染症の把握率の比較検討結果を報告した。
 対象は、1991年1月から1999年11月までの約9年間に当科に入院した991症例中、入院時の問診及び血液検査による感染症スクリーニング(B及びC型肝炎ウイルス、HIV,梅毒、HTLV)を行った945症例である。結果は以下の如くであった。
 入院時スクリーニング検査を行った945症例中55症例(5.8%)が陽性であり、その内訳はHCV抗体陽性29症例、HBs抗原陽性14症例、梅毒13症例、HIV抗体陽性1症例であった。(2例は、HCV,HBs両者が陽性)尚、HTLV抗体陽性症例は認められなかった。問診による感染症判明率はスクリーニング陽性全症例の半数以下にすぎず、スクリーニング検査の重要性が確認された。

非代償性肝硬変患者における下顎歯肉癌の1手術例

○松澤智由貴、栗田 浩、大塚明子、小林啓一、田中廣一、倉科憲治


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Department of Dentistry and Oral Sirgery, Shinshu Univbersity School of Medicine