教室の研究状況
信州大学医学部歯科口腔外科

学会報告

第48回日本口腔外科学会総会(2003.10.23-24 富山市)

Sleep Splintの副作用に関する検討

○ 中塚厚史、楠 公孝、瀧沢 淳、小林啓一、栗田 浩、倉科憲治

 われわれは2000年4月より当院第一内科と連携して閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下OSAS)の患者に対し下顎を前方に誘導する歯科装具(以下Sleep Splint:SS)を使用し良好な成績を得てきている。しかしSSには装着に対する違和感、唾液分泌の減少、顎関節部の疼痛、歯痛等の副作用も知られている。そこでわれわれはこの副作用が実際にどの程度出現するかを調査し、さらに使用できなかった患者について検討したので報告した。
 【対象】2000年4月より2002年9月までにOSASの診断のもとに当科を受診した103名の内、資料の揃った64名(男性53名、女性11名、BMI平均25.6kg/m2)。重症度別では、無呼吸低呼吸指数(以下AHI)≦20の軽症24例、20≦AHI<40の中等度28例、AHI≧40の重度12例であった。
 【方法】当科で実施しているSS装着後のアンケート結果より副作用を検討した。アンケートの項目はSS装着後の違和感、唾液分泌の減少、朝食時の咬合の変化、顎関節部の疼痛、歯痛とその部位である。さらに副作用によりSSを装着出来なかった患者について検討を加えた。
 【結果】@SS装着による違和感は80%認めた。A就寝時の唾液分泌の減少は14%で認めた。B朝食時の咬合の変化は約半数で認めたが、そのほとんどは昼までに症状が消失した。C顎関節部の疼痛も約半数で認めた。D歯痛は20%で認め、前歯部の疼痛が大部分であった。ESSの装着が困難であったのは64名中7名であり、装着に対する違和感が非常に強いこと、顎関節部の疼痛が主な原因であった。

TXT+CDDP+5-FUによる三剤併用化学療法により重篤な腸炎を生じた1例
術者装着型カメラ(ワイヤレスゴーグルカメラ;GS-8)による歯科口腔外科手術の記録

○栗田 浩、成川純之助、飯島 響、中塚厚  史、小池剛史、小林啓一、倉科憲治

 近年情報工学を初めとしてロボット工学、光学技術、あるいはバーチャルリアリティなどの技術の進歩が著しい。現在医療の場にはこれらの技術が急速に導入されつつある。これらの技術の歯科口腔外科領域への応用にあたり、口腔内の画像情報の収集は必須である。これまでも手術の記録や教育のためビデオ撮影、記録が行われてきた。しかし、一般に使用されているビデオカメラによる撮影では、狭い口腔内で行う手術手技に関する画像情報の収集は不可能なことが多かった。
 ワイヤレスゴーグルカメラは、市販の眼保護用ゴーグルに装着可能で、術者の視線で手術を記録するために開発されたビデオカメラである。われわれはこのカメラを用いて歯科口腔外科手術の撮影システムを構築したのでその概要を報告した。
 システム構成:(1)ワイヤレスゴーグルカメラ(GS-8、RF SYSTEM lab.、長野市):1/4インチ27万画素カラーCCD、φ0.8ミリピンレンズ、デジタル全自動、集音マイク、30mマイクロ波コードレス、240分充電池、重量38g、(2)液晶モニター(AS4612UT BK 、株式会社イーヤマ、長野市): 18.1インチ、最大解像度SXGA(1280×1024)、デジタルズーム機能、画像の上下/左右反転機能、縦横90度回転機構搭載

口腔癌に対するNeoadjuvant chemotherapyとしての Nedaplatin + Docetaxel 併用第1相臨床試験
○栗田 浩1、山本悦秀2、能崎晋一2、和田重人3、古田 勲3、柴田敏之4、倉科憲治1(中部口腔がん研究会)
信州大学医学部歯科口腔外科学講座1、金沢大学大学院医学系研究科歯科口腔外科学分野2、
富山医科薬科大学医学部歯科口腔外科学講座3、岐阜大学医学部臓器病態学講座口腔病態学分野4

【目的】Nedaplatin (CDGP) + Docetaxel (DOC)併用術前静注化学療法の最大耐用量(MTD)および第2相臨床試験の推奨用量(RD)を決定する。
【対象】切除可能な口腔扁平上皮癌(late-T2以上)一次症例(20〜75歳、P.S. 0〜2、主要臓器の機能良好、他の抗癌治療から4週間以上のWash out、Informed consent取得患者)。
【方法】投与方法はDay1にDOCを1時間かけて、引き続きCDGPを1時間以上かけて点滴静注。以下の投与レベルでdose escalation試験を行った。レベル1(CDGP 70 mg/m2、DOC 60 mg/m2)レベル2(80, 60)、レベル3(90, 60)。DLTはNCIのCTCを準用し、5日間以上続くGrade4の白血球or好中球減少、発熱を伴うGrade4の好中球減少、Grade4の血小板減少、Grade2以上の腎毒性などとし、投与レベルで3or6例中3例以上にDLTが出現するときそのレベルをMTDとした。
【結果】レベル3を終了し、DLTは1例も認めておらず、MTDに達していない。今後さらに投与量の増量が可能と思われ、投与レベルを上げた試験を実施中である。


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