教室の研究状況
信州大学医学部歯科口腔外科

学会報告

第47回(社)日本口腔外科学会総会
(2002/10/31〜11/1、札幌市)

睡眠時無呼吸症候群患者に対するスプリント療法によるAHIの変化と自覚症状の改善との関連性

○中塚厚史,宮澤英樹,楠 公孝,小林啓一,栗田 浩,倉科憲治

 われわれは2000年4月より当院第1内科と連携して睡眠時無呼吸症候群の患者の治療を開始しており、下顎を前方に誘導する歯科装具(Sleep Splint;以下SS)を使用し良好な成績を得てきている。今回、我々はSS装着前後に終夜睡眠ポリソムノグラフィー(以下PSG)を実施し無呼吸・低換気指数(以下AHI)を測定し、その改善と当科で実施している睡眠調査票の結果に関連性が得られるか否かを検討したので報告する。
【対象】2000年4月から2001年12月までの間に閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断にて当院第1内科より紹介され、当科を受診した無呼吸指数(以下AI)40以上の重症例15例、AIが20以上40未満の中等度症例9例の計24例(平均年齢56.4歳:28〜72歳、男性23名、女性1名、BMI平均25.6L/m2)。  
【方法】自覚症状の改善については、SS装着前後の睡眠調査票により、10項目を1〜4段階で評価しその合計点より改善率を求めた。またSS装着前後のPSGの結果よりAHIの改善率を求め、自覚症状の改善を求め、自覚症状の改善率との関連を検討した。
【結果】AHIの改善率と自覚症状の改善率との関連性は認められず、自覚症状が改善してもAHIがSS装着後に高くなった症例も認めた。

抗凝固・抗血小板薬使用患者への口腔外科処置に関する検討

片側性口腔扁平上皮癌における対側頸部リンパ節転移の検討 
3,舌癌T2、T3症例における検討

信州大学医学部歯科口腔外科学講座
長野市民病院歯科口腔外科1
飯田市立病院歯科口腔外科2

○ 栗田 浩、小林啓一、小池剛史、田村 稔1、峯村俊一2、倉科憲治

 対側頸部リンパ節転移(対側転移)をきたした症例の予後は不良で、対側転移を生じる症例の予測、および、治療法の確立が必要である。われわれはこれまでの検討でT4、および、舌ではT2以上で対側転移が出現しやすいことを報告した。また、T4では腫瘍が正中を越えて進展しているか、患側頸部リンパ節に複数の転移を認めた場合に、対側転移の危険性が高まることを報告した。今回はT4を除いた舌癌T2およびT3症例について、対側転移を来す因子について検討を加えたので報告する。
【対象および方法】1985〜99年の15年間に当科にて入院加療を行った片側性(両側犬歯間原発例、多発癌症例を除く)の顎口腔領域扁平上皮癌211例のうち、新鮮例かつT2およびT3(UICC1997)舌癌61例。このうち対側転移を来した群(転移群;9例)と来さなかった群(非転移群;52例)の間で原発腫瘍の臨床所見、患側頸部リンパ節転移の様相、病理組織所見等を比較検討した。
【結果】転移群と非転移群の間で腫瘍の増殖様相、組織学的分化度、腫瘍の浸潤範囲に関して統計学的に有意差が見られた(Mann-Whitney U-test, P<0.05)。
【結論】以上の結果から、T2およびT3の舌癌では腫瘍の増殖が内向性、組織学的分化度が低い、腫瘍の浸潤が深部に及ぶほど、対側へのリンパ節転移の危険が高まるものと考えられた。


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Department of Dentistry and Oral Sirgery, Shinshu Univbersity School of Medicine