顎関節内障に伴う下顎頭の形態変化
−下顎頭短径および長径の変化−
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栗田 浩,大塚明子,小塚一芳,畔上卓也,小林啓一,倉科憲治
顎関節内障は顎関節症の約2/3以上を占める主要な病態である。しかし、その発症のメカニズム、病態はいまだ不明な点が多い。顎関節内障の進行に伴い顎関節構成硬組織にも何らかの形態変化が生じていると考えられる。そこで今回われわれは、水平断面像における下顎頭の形態変化に注目し、水平断面像における下顎頭の短径および長径の変化と関節円板前方転位との関連を検討したのでその概要を報告する。
<対象>1994〜2000
年までに顎関節症の診断で顎関節のMR撮影を行った患者のうち、資料の整った133
例214関節。
<方法>顎関節のMR水平断面像において下顎頭の短径および長径を計測。またMR矢状断面像にて関節円板の転位状態、転位の程度、および、円板形態を評価。そして、顎関節の短径および長径と円板転位の病態(転位および復位の有無、転位の程度、円板形態)との関連を検討した。
<結果>円板転位を持つ関節では、転位の無い関節より下顎頭の長径および短径は小さかった。また、円板の転位量が大きくなるほど、また、円板の変形が進むほど、下顎頭の長径および短径は小さくなる傾向を認めた。しかし、転位および変形が重度になると、下顎頭の長径および短径が増加する傾向が見られた。
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