口腔扁平上皮癌におけるmoesin発現の免疫組織学化学的検討
小林啓一、畔上卓也、大塚明子、栗田 浩、谷口俊一郎*、倉科憲治
(信州大学医学部加齢適応研究センター環境適応分野*)
moesinはERM(ezrin/radixin/moesin)ファミリミリーの1つで、分子量75kDのタンパク質である。moesinはN末側で細胞膜結合タンパク質と結合し、C末側でアクチンフィラメントと結合することにより、細胞膜とアクチンフィラメントの架橋として機能している。また細胞内情報伝達によ関与し、細胞の形態変化や接着、細胞増殖にも役割を果たしている。今回われわれは口腔扁平上皮癌におけるモエシンの発現を免疫組織化学的に検討したので報告した。
材料は1995年1月から1999年12月までの5年間に信州大学医学部歯科口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌一次症例59例の生検ならびに手術標本である。一次抗体としてanti-moesin
mAbを用いて間接法にて染色し、評価として強陽性から陰性までの4段階で評価した。
結果として、悪性度が高くなるにしたがい、細胞膜のモエシンの発現は減少し、細胞質のモエシンの発現は増加した。
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