教室の研究状況
信州大学医学部歯科口腔外科

学会報告

第41回日本口腔科学会中部地方部会

リンパ上皮性嚢胞の1例

       澤柳美和子、小林啓一、茅野めぐみ、小池剛史、田中廣一、倉科憲治

症例:26歳、女性
主訴:左側頚部の腫脹
既往歴:メニエール病
現病歴:1998年4月初旬より左側頚部に無痛性、弾性軟の腫瘤を認め近医を受診。左耳下腺部の腫脹を指摘され当科初診となった。
現症:
左側頚部、胸鎖乳突筋前縁に38×25mm大の腫脹を認め、病変は弾性軟、可動性で触診にて比較的境界は触知可能であった。
画像所見:US像では左耳下腺、顎下腺間に内部壊死性の腫瘤を認め、
MRI像では同部位に境界明瞭、内部粘調性の腫瘤を認めた。嚢胞性疾患が疑われ、試験穿刺を施行。内容液中よりAMY24530と高値を示した。
臨床診断:左側頚嚢胞。
 全麻下にて嚢胞摘出術を施行。嚢胞は瘻管、唾液腺組織等に通ずる組織は無く、比較的容易に剥離、摘出した。摘出物は40×25mm大、空豆型を呈していた。
病理組織診断:リンパ上皮性嚢胞。
 嚢胞壁内面は角化した重層扁平上皮よりなり、上皮下に胚中心を有するリンパ組織の存在を認めた。術後、経過は良好で、再発等認めていない。

  

下顎骨に発生した類骨骨腫と思われる1例

       今井恭一郎、大塚明子、清水俊英、降旗正生、松澤智由貴、栗田 浩、倉科憲治

症例:29歳、女性
3年程前からの左下臼歯部の疼痛を主訴に当科受診に至った。
初診時、口腔外においてはVincent症状はなく、左顎下リンパ節が大豆大に腫脹し、圧痛があった。口腔内においては左下1〜5番に舞踏様動揺及び弓倉症状はなく、左下第一大臼歯相当部頬側歯肉に骨様硬、半球状の膨隆を触知し、同部位に圧痛を認めた。X線所見では、左下第一大臼歯相当部の歯槽頂側に虫食い状の骨溶解像が認められ、その下方に不定形な塊状のX線不透過像を認めた。その周囲をX線不透過帯が囲み、さらにその周囲はび慢性に骨硬化像を認めた。臨床検査所見において特記すべきことはなく、我々は左側慢性下顎骨骨髄炎と臨床診断し、腐骨除去術を施行した。手術摘出物の病理組織学的検査より次の所見が得られた。標本には、著明な石灰沈着を伴う類骨が形成されており、周囲は線維性組織に隔てられていた。一部破骨細胞性の骨吸収像も認められた。臨床所見及び病理組織学的所見より我々は類骨骨腫と確定診断した。術後、現在まで経過観察を行うも経過良好である。

 


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Department of Dentistry and Oral Sirgery, Shinshu Univbersity School of Medicine