術後下肢深部静脈血栓症を合併した舌下腺悪性腫瘍の1例
小塚 一芳、張淳美、酒井洋徳、大塚明子、栗田 浩、倉科憲治
今回われわれは、左側舌下腺癌切除術後に発症した下肢深部静脈血栓症の1症例を経験したので報告した。血栓症のリスク因子としては 血栓症の家族歴・既往歴、抗リン脂質抗体陽性、悪性腫瘍、心疾患、高年齢(40〜70歳以上)、重症感染症、長期安静臥床、血液濃縮(Hct=40%以上)、肥満(BMI26以上)、高脂血症、喫煙、長時間手術などが挙げられているが、本症例では悪性腫瘍、高血圧、高年齢、肥満、長時間の手術等の因子があり、血圧コントロールの不良や術後の長時間安静臥床により下肢深部静脈血栓症が誘発されたと考えられた。下肢深部静脈血栓症の予防には、早期離床、AVインパルス、圧迫用ストッキング、下肢の挙上、
マッサージ、足首の背屈運動、十分な補液などが提唱されている。われわれ口腔外科領域の患者でも、下肢深部静脈血栓症が発症する可能性があることを念頭に、患者管理を行うことが必要であると思われた。
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