口腔扁平上皮癌におけるネダプラチン+UFT併用術前化学療法の検討
藤森 林、栗田 浩、畔上卓也、大塚明子、小林啓一、田中廣一、倉科憲治
シスプラチンの誘導体であるネダプラチンは、頭頸部癌において高い有効性が報告されており、口腔癌においても今後その応用が期待されている薬剤である。われわれの施設では口腔粘膜癌根治手術待機症例に対し、ネダプラチン+UFT併用化学療法を術前治療として行ってきた。そこで今回、その臨床効果について報告する。
対象:Stage、。および「の口腔領域扁平上皮癌11症例。
方法:診断後できるだけ早期から手術前日までUFTを300または400mg/日で内服。途中ネダプラチン80または100mg/Fを1回静注した。
結果:UFTの投与量は2,100〜24,600mg(7〜60日間)、ネダプラチンの投与量は平均121mgであった。臨床効果(頭頸部癌取り扱い規約)はPR4例、NC7例で奏効率は36.4%であった。組織学的効果(下里分類)はGb2例、G。2例で奏効率は40%(*1例手術施行せず)であった。臨床学的に効果があった症例と、病理学的に効果があった症例は完全に一致していた。UFTの総投与量と効果との関連は認めなかった。副作用(日本癌治療学会 固形癌化学療法効果増強の判定基準)は、Grade3以上の好中球減少を3例に、Grade3の血小板減少を1例に、Grade3の発熱を1例に認めた。血液毒性はネダプラチン投与約3週間後にnadirとなった。
まとめ:本療法は外来での施行も可能であり、術前化学療法としての可能性が示唆された。本療法は奏効例と非奏効例がはっきり区別されており、効果を左右するなんらかの因子の解明が必要である。
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