口腔癌術後摂食障害に対してPEGを用いた胃瘻造設を行った3症例
今回我々は、口腔癌術後に様々な理由により摂食障害を併発し、中長期的な栄養管理を必要とした3症例に対し経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)により胃瘻造設し、経胃管法による栄養管理を行った。理由として、生理的度合いの強い高カロリー栄養を長期間摂取可能であり、噴門弁機能の破壊が無く、審美性に富み、医療費も安価で在宅栄養療法として優れているとされているからである。またPEGは、従来よりの外科的胃瘻造設術と比べ、1.患者に対し低侵襲で施行可能、2.患者や家族の精神的負担の軽減、3.管理の容易性、4.リハビリテーション時の自立性の実現、5.無麻酔下にて在宅、外来交換が可能、6.抜去後当日よりの経口摂取可能等の利点を有するとされる。
症例1:患者79歳、女性 臨床診断:右口底扁平上皮癌(T3N2bN0)
治療経過:化学療法併用術前照射、根治的な腫瘍切除術、術後補助化学療法
胃瘻造設に至った理由:・仮性球麻痺による中枢性嚥下障害・誤嚥性肺炎
症例2:患者75歳、女性 臨床診断:右舌扁平上皮癌切除術後、右頚部リンパ節後発転移
治療経過:腫瘍切除術及び再建術、術後照射
胃瘻造設に至った理由:・放射線照射により引き起こされた口腔及び咽頭粘膜炎による疼痛
症例3:患者72歳、女性 臨床診断:右舌扁平上皮癌(T3N2bM0)
治療経過:術前化学療法、根治的腫瘍切除術
胃瘻造設に至った理由:・腹直筋皮弁の萎縮に伴う経口摂取障害
3症例とも、良好な栄養管理をしえたので報告した。
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